Arsenyevich

ハリーの災難のArsenyevichのネタバレレビュー・内容・結末

ハリーの災難(1955年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

鮮やかな秋の紅葉に彩られて、
一つの死体を巡り繰り広げられるほのぼのした群像劇。
殺人疑惑の死体がテーマなのに、ここまで爽やかに描いちゃっていいのかよと。

物語の作り、語りはほぼコントに近い。
にも関わらず飄々と現実世界のように描いてしまうヒッチコック。もはや理屈ではなく見せ方。現実的かどうかは二の次なんだろうな。

登場人物達は皆、死体の傍にいても何処か上の空。この無関心さがある意味でコメディタッチに描かれたこの映画の真の怖さ。ラストのハッピーエンドのような終わり方も、人間の異常心理を逆に際立たせていて、笑えるようで笑えないのだが…
1番真っ当な反応をするのは様子がおかしい男の子だけ。大人は皆、空想に忙しく現実を斜めに構えて受け入れようとしないから。
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