新木

クロッカーズの新木のネタバレレビュー・内容・結末

クロッカーズ(1995年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

スパイク・リー監督ならではの冒頭の黒人の亡くなった方々の写真。おそらく本当にあった事件のものなので、観るのがだいぶきついのですが、監督が作品を通して訴え続けている黒人への不当な差別に対する怒りはこのときもだいぶ燃え上がっていたことが推察される。この部分もうすこし短くしてほしいと思うのは、自分がそのような差別を受けてないからなのでしょう。

「また道にシミが」と銃で殺された黒人に群がる白人警官らによるこの言葉は、映画といえど、非常にショッキングである。違う場面でも主人公のストライクが血を吐き道に倒れても警官は助けず、その場を立ち去っていく。この白人警官と黒人という対立構造は、今のアメリカ社会でどの程度お互い歩み寄りを見せているのか。はたまた前大統領によって溝は深まっているのか。

そして思うのは、クスリの売人として生計を立てている黒人たちは他に就労先がないのであろうか。ここを自己責任では決して片付けてはいけない問題であり、社会的に黒人雇用(または教育)に関してフォローがきちんとされていないのであれば、そこから変えていかなくてはいけない時代にある。そんな売人には親は自分の子ども(タイロン)を近付けさせたくないのだが、働いてるのか、どうしてもひとりでいる時間が長いタイロンはストライクと自然に関わりを持ってしまうし、ストライクは「金はクスリで稼げ」とモノを与えて自らの成功を刷り込ませ、また新たなストライクを生むという悪循環に陥る。

ストライクの胃が不調であるのは、列車遊びに夢中であったり、チョコムーという甘いジュース?を好んで飲んだりと成熟しきってない精神性のなか、クスリや殺人などの現実にバランスが取れていないことによるストレスなのだろう。根は子どもたちにマットを寄付してあげるような優しい性格なのであろうから、身体の不調から救いの無い現状から抜け出す術をなんとか見つけてほしいものだ。
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