さらしな

フォレスト・ガンプ/一期一会のさらしなのレビュー・感想・評価

3.4
本当に様々な見方ができる物語だな、というのが一番の感想。
IQが普通の人よりも低いフォレスト・ガンプという一人の男が、運が良いのか悪いのか、大きなことを成し遂げたり、周りの人を救ったり、幸せになったりする話。
主人公が他人に自分の人生を語る体でストーリーが紡がれていくのがとても面白い。創作物において「信頼できない語り手」という手法があるが、それに近いところがある。語られた内容だけ見れば間違いなくサクセスストーリーだが、本人には自分が凄いことをした自覚は本当になく(おそらく名誉欲的なものがほとんどないからだろう)、「自分がやりたいことをやった」結果がたまたま世間的な成功につながっているだけ。これを「自分がやりたいことを一生懸命やれ」という励ましのメッセージと受け取るのは何か違う気がする。才能(フォレスト・ガンプにはいくつかの飛び抜けた才能があった)至上主義とも読めるし、素晴らしい人生には良き人との出会いが不可欠であるという運命論にも思える。
この映画で一番有名な言葉「人生はチョコレートの箱。開けてみないとわからない」は、何事も挑戦してみないとわからない、という希望に満ちた言葉であり、どんなに立派な外装でも中身が粗末かもしれない、という恐ろしい現実を突きつける警句でもある。
フォレスト・ガンプの人生は決して楽なものではないが、彼と深く関わるヒロインや小隊長の人生と比べてみるのも面白い。
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