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隣人は静かに笑うのmimocyanのレビュー・感想・評価

隣人は静かに笑う(1999年製作の映画)
3.7
自分の多感だった時期と被っているからかなんなのか、90年代ってもう20年は昔なのにそんな過去だってことが未だにピンとこなかったりします
けれどそんなピンとこない90年代も、やはり映像として見てしまうと、その過ぎ去り具合も良くわかるというもの

既視感と慣れ親しんだ感じが2分の1ずつ、キリッとシリアスに作りこんでるけれど、結構ご都合主義的な粗が目立ったり終盤にカーチェイス入れたりとか、うわなんか懐かしいと感じる要素たくさん
携帯電話のレトロに不恰好なフォルムが、その野暮ったさを象徴してるかのよう
それらをひっくるめて前時代的といってしまえばそれまでですが、いやいやしかしなめるな90年代、ストーリーの方はなかなか侮れません

良き隣人だったはずの向かいの家族が、ささいなきっかけから疑念と恐怖の対象になる…
姿を隠した恐怖の存在は、むしろ現在の自分のたちにこそしっくりくるキーワード
フラグの立て方こそ古典的ですが、じりじりとにじりよる危機の演出は、シンプルに怖い怖い
仕組まれた罠の狡猾さもなかなか驚かされるもので、サスペンスの醍醐味十分
テロリストがテロリストに身を落とすこととなったバックグランドの悲哀にも目を向けつつ、しかし結局お前達は自分たちと同じような子供を増やしていってるだけなんだ、という明確な批判も込められていたかと
これは9.11以降なら描けなかった匙加減かもしれないですね
ティム・ロビンスはミスティックリバーと同様にまたとんでもなく後味の悪い映画に出てますね…彼の存在感も格別

1999年、ノストラダムスの恐怖の大王は現れませんでしたが、20世紀の終幕と共に世界はテロの世紀へ
時代は地続きであり、予兆は今をもっても風化せず、現在の私たちに語りかけてくるようです
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