海に行けばよかった

リトル・ロマンスの海に行けばよかったのレビュー・感想・評価

リトル・ロマンス(1979年製作の映画)
3.5
パリに住む映画好きのおませな少年ダニエルと、義父の仕事の都合でアメリカへの帰国を間近に控える天才少女ローレン。13歳の幼くも精一杯背伸びした恋をリリカルに、そしてちょっと切なく描く恋愛映画。パリを舞台に、分からず屋のローレンの母や理解のある義父、ローレンの親友のポンコツ美少女ナタリー(ビジュアルもキャラもめちゃくちゃ可愛い!)、ダニエルの友達のエロガキロンデら、個性的なキャラを織り交ぜて、主人公二人の惹かれ合う過程を描く前半と、いかさま老紳士ジュリアスを交えて家出し、ヴェローナ、ヴェネチアと捜査の網をかいくぐりながら、カップルが永遠に結ばれるという嘆きの橋でのサンセット・キスを目指す風情溢れるロードムービー風の後半という贅沢な構成。
13歳でハイデッカーを嗜み、デートで互いのIQを確認するという可愛げのなさと、年相応にエロ方面で背伸びをする可愛げが共存する主役2人、頭のなかはエロいことでいっぱいの親友たちや、自身の非情な現実を呑み込み若いカップルを奮い立たせる嘘を吐いていたジュリアスら、キャラがみんな可愛かったり、味わい深かったりで魅力的。
理想の相手は違う時代にいたかもしれない、同じ時代でもはるか遠くの国にいて会えないかもしれないというセリフや、成長して「普通の人」にならずに、初恋の相手がいつまでも変わらずにいてほしいという願い。別れも含めて誰しもが一度は通過したような、恋の普遍性を巧みに落とし込んだシナリオは文句なし。