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ワイルド・ソーンベリーズ ムービーのURのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

まず初見の人はあまりにも独特過ぎるキャラクターデザインに怖気づく事と思う。
しかし映画が終わってみれば父親のナイジェル、姉のデビー、主役のイライザといったソーンベリー一家に愛着が湧いているのは間違いないだろう。

本作はニコロデオンのTVシリーズ『ワイルド・ソーンベリーズ』の映画作品。その為、シリーズでの描写は随所に登場するが、ストーリーの本筋には大きく関わらないので知らなくても本作を楽しむ分には特段問題は無い。加えてOPにてキャラクターや設定は語られる為、初見でも分かるようになっている。

本編が始まり驚かされるのは背景の描写や動物達のデザインだ。細かくも洗練されたデフォルメ具合は、自然という存在をよりリアルに感じさせより親しみやすくさせてくれている。

ストーリーも子ども向けの映画とは思えないクオリティだ。序盤から終わりまで無駄と感じさせるシーンが全くと言って良い程無い。まさかこのシーンがここに繋がるとは…と驚かされる。イライザの動物を守ろうとする勇気や最後まで諦めようとしない姿には心を打たれる事だろう。

本来、と言っても当たり前だが人間と動物は言語によるコミュニケーションをする事は出来ず、気持ちを通じ合わせて会話に近い何かを行っているに過ぎない。本作の主人公イライザは動物と話す能力がある。だが中盤に起こるある出来事によってその能力が失われてしまう。
一方イライザの姉デビーはこれまたある出来事によってジャングルで1人遭難してしまう。そんな中出会ったのが原住民のボコであった。当然言語が違うのでお互いに言葉を用いて話す事は出来ない。
本作はイライザと動物、デビーとボコが鏡のような存在として描かれている。つまり非言語的なコミュニケーションを異種間、同種間の2つの目線から描いているのだ。そしてその描き方の違いも実に見事である。この辺りは是非本編を観て欲しい。

最後に音楽も素晴らしい。本作の舞台であるアフリカらしさや民族らしさのある曲調で、自然の雄大さを感じさせてくれる。TVシリーズでもシーンに合った見事な曲を見せてくれたが、映画においても例外では無かったようだ。

本作はニコロデオン・ムービーズ作品の中で映画としてもTVシリーズの映画化としても最高のクオリティと言えるだろう。現在は吹替版字幕版ともにAmazonビデオにてレンタル/購入が出来るので是非観て欲しい。

イライザ:芝原チヤコ
ダーウィン:鈴木勝美
デビー:まるたまり
ナイジェル:園部啓一
マリアン:高月希海
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