海に行けばよかった

ゼロ タウン 始まりの地の海に行けばよかったのレビュー・感想・評価

ゼロ タウン 始まりの地(2012年製作の映画)
3.2
レバノン戦争を舞台に、戦闘機を撃墜され捕虜になったイスラエル将校ヨニと、空爆で死んだ父の故郷へオリーブの苗木を植えに行きたいパレスチナ難民キャンプの少年ファヘッド。対立していた2人は、いつしか友情を深めながら国境を目指すという、珍しいバディものロードムービー戦争映画。
パレスチナ難民キャンプでは重火器の扱いを学び、小学校では亡くなったクラスメイトの机に写真と花を飾っている風景が日常という、当時の過酷な状況が印象的。荒廃したベイルートと、清潔で整備されたイスラエルの街中、それぞれで子供たちがサッカーをする風景の対比。2人が打ち解けあっても、空爆に話が及んだときに固まってしまうファヘッド。ラストシーンで、ファヘッドを送るイスラエル軍の車の上空を飛ぶ戦闘機と、ほのぼの展開を見せても常に戦争の影をちらつかせる演出がシビア。
アクション控えめで2人が徐々に友情を深めていく過程を丁寧に描いた人間ドラマ中心の物語だが、前半の国境越えまでの逃避行はそれなりに緊張感があるし、ラストの着地点も含めてけっこう現実的な映画では。
2人が別れる際の抱擁シーンでは目頭が熱くなった。
しかしスティーブンドーフってこんなにステイサムに似てたっけ?