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007 スペクターのwarmgunのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.7
ダニエル・クレイグ版007の集大成。「カジノ・ロワイヤル」から「スカイフォール」までの設定を上手く活かして、それらのストーリーを全て繋いだ展開になっていて、それがとても驚いた。(事前情報を全く仕入れていなかったので。)
冒頭のメキシコのアクションシーンが抜群。CGを使わず実際にエキストラを大勢集めて大群衆シーンを撮ったというのだから、とても贅沢。昔のスペクタクル映画のよう。

「スペクター」という悪の組織は、ショーン・コネリー時代の敵組織として有名なのに、大人の事情で近年は使用できなかったらしいが、ここでついに満を持しての再登場。ただ引っかかるのは「カジノ・ロワイヤル」以降の事件全てで裏にスペクターが絡んでいたという設定。急にそんなこと言われても困ります。そんな設定にされたら、今後「カジノ・ロワイヤル」や「慰めの報酬」を見るときに逆に混乱してしまいそう。確かに「カジノ・ロワイヤル」のル・シッフルさんには若干小物感が漂ってはいましたが。そこで「Mr.ホワイト」の登場なのだろうが、個人的にはちょっと無理矢理さを感じた。

しかしそれでも旧作からのファンへのサービス満点という意味では、「フォースの覚醒」に劣らず。
ポスターにもあるように白いタキシードでの列車内での格闘シーンや、雪山でのチェイス。アストンマーチンの秘密兵器を駆使したカーチェイス。
そして何より「スペクター」の首領「ブロフェルド」。白いネコが出てくるだけでニヤけてしまうし、目の怪我の場所も旧作ブロフェルドへのオマージュで楽しい。

ストーリー的には前作「スカイフォール」の方が好きだし、上映時間が長いのもなんとかして欲しかったし、アンドリュー・スコットが「シャーロック」のモリアーティーそのままの演技で、「絶対悪いやつだろ」と思ったらその通りだったり、ギネス記録の爆破シーンも全然迫力不足だったし、主題歌のサム・スミスも情感たっぷりすぎのToo Muchで、なぜ当初の予定通りレディオヘッドにしなかったのか等々、色々文句の言いたいところもあるけれど、トム・フォードのスーツの素晴らしさと、レア・セドゥの美しさに免じて許します。
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