warmgun

君が生きた証のwarmgunのレビュー・感想・評価

君が生きた証(2014年製作の映画)
4.4
2015年に見た新作映画の中で、それまでは「セッション」が裏1位だったが、この映画を見て裏1位はこの映画になった。大好きな作品。

あらすじは、大学の銃乱射事件で息子を失った主人公。荒んだ生活を送っていた彼に、別れた妻が息子の遺品の自作曲のCDとギターを渡す。それを聞いた主人公は息子のギターで息子の曲を弾くようになる。ライブバーの飛び入りステージに出て、そこで知り合った、息子と同世代の青年とバンドを組むことに。死んだ息子の曲とバンド仲間も知らずにライブを重ねるうちに、バンドの評判が良くなり、ついに地元のフェスに出るのだが...

まずとにかく劇中で歌われる曲がどれもいい。歌詞も素晴らしいし、サウンドもいい意味でアメリカンオルタナの王道で、非常に聴きやすく、バンドアレンジもコーラスも素敵だ。
また、それを演奏するシーンも非常に素晴らしい。ライブバーのバンドの客の距離の近さがとても心地よく、純粋に、この曲なら自分もバンドで演ってみたいと思えたほど。

そしてストーリーが心を動かされる。父と息子の話であり、さらに米国社会の抱える闇を描こうとしている。自分も主人公のサムと同じ世代なので、彼の思いや行動が本当に手に取るようにわかるだけに、他の映画よりも余計に感情移入してみてしまったのだろう。ラスト、主人公サムが一人歌う姿に涙が止まらなかった。

キャストも素晴らしい。主人公サムにビリー・クラダップ。「あの頃ペニーレインと」でバンドのギタリスト役を演っているだけあって、ギターの腕前は本物。また一緒にバンドを組む青年役のアントン・イェルチンもギターが上手いし、神経質な青年役にピッタリ。更にバンドを見守る楽器店のオーナーにローレンス・フィッシュバーン。
そしてライブバーのオーナーが、この映画の監督・脚本・製作を務めたウィリアム・H・メイシー。あの個性的な俳優が、こんなに繊細で美しく、そしてナーバスな映画を撮るとは。

音楽好きな人はもちろん、いろんな人達に見てもらいたい、実にいい作品です。iTunesでレンタルできるので是非。
warmgun

warmgun