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シビル・ウォー/キャプテン・アメリカのtomoのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

トニー派です。
トニーは武器産業の雄としてのバックグラウンドや過去の戦いの経験から自分の独善性に自覚的で、だからこそヒーローも自分の考えを正しいと思い込んで突っ走ってはいけないと思っている。
キャップは仲間は信じ抜くし正義に反して誰かを犠牲にすることを許さない信念がある。だけど結局彼も友情や恋情に流される普通の人間で、感情で判断が揺らぐ普通の人間である以上、その破壊的な力を個人の判断で行使させてはならないというのはどう考えても正しい。国連の監視という手法が適切かどうかは疑問が残るが、まさにトニーの言う通り妥協の中で落とし所を探していくべき。
今回のテロは結果的に黒幕がいてバッキーは無実だったけど、だからキャップが正しかった!っていう単純な話じゃないんだよね。それは結果論であって、実はバッキーがまだ操られててもっと悲惨な結末になる可能性もあったわけじゃん。いつ殺されてもおかしくない状況での正当防衛ならともかく(そういう場面も一部あったが)、逮捕されそうな状況や逃げるチャンスができた途端に大暴れして抵抗するキャップが子供っぽくて私情に溢れすぎててイライラした。力で解決する前に適切なプロセスを踏むことは大事よ。無抵抗で捕まった上で、バッキーは疑いが晴れるまで人道的に拘束し、その間に状況を説明して協力すりゃいいじゃん。完全に敵の術中でキャップ含む味方が全員四面楚歌でガンガン撃たれてる状況とかならともかく、話し合えるチャンスはいっぱいあったし、復讐心に駆られたブラックパンサーはともかく、総じてみんなキャップには話し合い歓迎の態度だったじゃん。「自分の正義を信じて突き進む!」と言ってる奴がマジで自分の正義だけを頼りに周りを攻撃してて、お前みたいな奴がいるから抑止力が必要なんだよとどつき回したくなった。キャップ派の方申し訳ない。
まあ軍需産業を引っ張る老獪な事業家として歳を重ねてきたトニーと、軍隊の狭い世界で仲間だけを信じて戦ってきたキャップの環境の違いをよく表現していた衝突だと言えるかな。イライラハラハラさせられたということはそれだけのめり込んで見ていたということなので映画としての評価は高めにしときます。
作品内で一番成長してかっこよかったのはブラックパンサーですね。復讐の虜から一抜けした姿に王の威厳がある。キャップ、せっかく助けてもらったんだから彼の姿勢から色々学びな。
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