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来るの15bluelavenderのレビュー・感想・評価

来る(2018年製作の映画)
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先日、監督の名前や先入観で観ない方がいいって話を人としたのですが、その後、PrimeVideoのおすすめでたまたま出てきたこの作品。


中島哲也監督作品は、『下妻物語』のようなファンタジー感は好きだけど、近年の作品は未見のわたしだったのでした。

前情報なし、原作未読、初見。

でも、ここは先入観抜きにして、この機会に作業中に流しておこうかと早速視聴。

タイトルとキャストは知っていましたが、どのような展開になるのか全く予測できませんでした。

あの展開には驚きましたが、「これ、どこに着地するんだろう」と、気づけば作業の手を止めて観ていたのでした…。



『来る』は、中島哲也監督の作品の中でも、独自の魅力とテーマを持ち、キャラクターの深層心理にも光を当てた作品です。

作品の魅力の一つは、その奥深いテーマです。

人間の心理や善悪の二面性、そして未来や運命といったテーマを探求しています。


特に、登場人物が直面する選択や決断によって引き起こされる展開は、観客に深い考察を促します。

また、作品全体に渡って繰り広げられる不気味な雰囲気や心理的な緊張感も、作品の魅力の一端を担っています。

物語が進むにつれ、驚きとともに興味深さに引き込まれていきました。


黒木華さん、小松菜奈さん、松たか子さんらの演技は、彼女たちの個性を際立たせながらも、物語の世界にリアリティをもたらしました。


同様に、妻夫木聡さん、岡田准一さんらの演技も、観客の心に深い共感を呼び起こす存在でした。



さらに、登場人物たちの深層心理も見逃せません。


物語の中で描かれる登場人物たちは、それぞれに持つ過去や心の闇を抱えながら、運命に翻弄されています。


彼らの行動や選択には、その背景にある心理が反映されており、観客は彼らの内心情に共感しながら、物語の奥深さを探求することができます。


印象深かったのが、オムライスが物語の中で重要な象徴として表現された事でした。


オムライスが登場する場面は幸せや安らぎの象徴のように描かれており、登場人物たちがオムライスを通じて自身の内面と向き合う姿は、彼らの葛藤や成長を表しています。

オムライスが持つ象徴的な意味合いは、登場人物たちの心理状態を深く掘り下げています。


また、中島哲也監督ならではの美しい映像表現も、作品の魅力の一端を担っています。

美しい色彩や構図が物語の世界観を一層引き立て、視覚的な魅力を与えてくれました。

日本のホラー映画の映像には暗いイメージがあるかもしれませんが、『来る』では暗い場面でも光の差し込み方や色彩の使い方が絶妙であり、視覚的な美しさが物語の緊張感や雰囲気を一層引き立てます。




さらに、物語のクライマックスへのスピード感や展開のメリハリも見逃せません。


観客は物語の流れに自然と引き込まれ、一気に物語の深みに浸ることができます。

『来る』は、ホラー映画としてだけでなく、人間の複雑な心理や善悪の二面性、そして幸せや運命といったテーマを深く掘り下げた作品として、観客に強い印象を残します。


物語の結末に至るまでの展開や登場人物たちの心情に共感しながら、観客は作品の奥深さを探求していくことができます。
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