Riisa24

宮本から君へのRiisa24のレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
3.0
嫌いだ。
『百円の恋』や『グラン・トリノ』を見た時のような嫌悪感だ。
女の性被害を男のむさ苦しい綺麗事に昇華させた、男が作る男のための映画。
結局女が男を汲み取って絆されて歩み寄んなきゃ締まらない話だった。

 何故か、女への暴行は、女子供が殺されるよりつらい。
心は殺され肉体だけ無様に生かされる瞬間、見ているこちらまで乖離する感覚に陥り、どうしても主観で情動を乗っけてしまう。
 "性暴力"が他に変えられないプロットの起爆剤になることは想像がつくし、この話のように、「お前(被害者)じゃなく自分のためだ」と強引にでも犯罪者を半殺しにしてくれる男が正義の場合もあると思う。
だとしても、フィクションで、何かの分岐点やスイッチを入れる瞬間の為に犯されることが耐えられない。
こちらの心を殺してまで用意しなきゃいけない必要性を感じられない。
これはただのワガママ。

 と同時に、魂でぶつかってくる宮本の気概と滅茶苦茶さに、熱くなった所もある。
女はもう崩壊必至だし、綺麗事も正論もありきたりな優しさも突っ撥ねるしかない女に、そんな壁を何重にも超えて「断固として動かないから側にいろよ」なんて、カッコ悪い生意気な優しさが響く。

 憎くて正直解せないストーリーだが、宮本は変わらず馬鹿ででも周りを救っていて、何とも言えない、情動の落とし所のわからない話だった。

p.s. 役者陣へはスタンディング拍手をおくりたい。目から血の出そうなキレた演技が光ってた。

時系列の交錯するプロットも痛快。
最初のシーン・台詞が終盤で効いてきたりする。
Riisa24

Riisa24