もっとサスペンス寄りなのかと思った。
いつ園子が豹変するか、いつ哲雄がラブドールに依存して幻覚を見始めるか、とソワソワ構えていたけど、しっかりロマンスだった。
プロットとしては非常にありきたりで、
秘密を抱えたまま結婚した夫婦の、波穏やかな切なく愛しい純愛ラブストーリー。
他の作品と決定的に違うのは、その "ホラー感" が拭いきれないキャスティングと、舞台設定と、「青」「グレー」「白」などをメインとした単調なフィルム補正。
不穏さとノスタルジック？アンニュイ？な雰囲気が共生していて、なんとなく先が読めない。
ラブドールの存在も、リアルを追求すればするほど、意識下で魂を介在させてしまうような不安定さがあって絶妙に恐怖。
かと思えば、二人のラブシーンは優しい光に包まれた儚いもので、蒼井優の笑顔と不器用な高橋一生が最高に可愛い。
その別カテゴリーの共生が面白いなと思った。
結末の描き方とかモノローグとか小説っぽさを随所で感じたけど、綺麗に映画っぽくなってた。
でも最愛の人を不特定多数に抱かれるのって気分どうなん……？
