さらしな

わたしの叔父さんのさらしなのレビュー・感想・評価

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)
4.4
デンマークの田舎で酪農を営む27歳のクリスと彼女の叔父の二人きりの粛々とした日常に、少しだけ変化が起きる話。
クリスは14歳で親を亡くし、叔父に引き取られる。しかし、高校卒業前に叔父が足を悪くしてしまい、大学進学を断念、獣医になる夢を諦めて叔父の介護をしながら牧場を経営していた。クリスと叔父の間には最低限の会話しかないが、ちょっとしたやり取りの中で二人の長年の生活や親愛が垣間見えて、お互いに大切に思い合っていることがわかる。
だが、それはそれとして、クリスは獣医になる夢を捨てきれていないし、恋もしたい。でも、叔父をひとりにしてしまうことに、不安や罪悪感を感じてしまう。半ば依存にも執着にも見えるクリスの葛藤は、誰が悪いわけでもない分、なおさら辛いものに思われる。
ここで終わり⁉︎というところで終わるけど、様々な可能性を感じさせる終わり方ただったので、これはこれで良いのだと思います。
田舎の広大な風景と生活音が美しく、クリスの心の動きがもどかしい。華があるタイプの映画ではないけれど、静かな日常系が好きな人には刺さる映画。
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