新木

ファースト・カウの新木のネタバレレビュー・内容・結末

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ビーバー漁が盛んな時代に、マーケットでドーナツを売って評判を呼んだふたり組のお話。A24配給ということで鑑賞したわけだが、2023年の日本公開作品で同会社配給でグッと持ってかれたのはどれだけあったか。

本作が事実に基づいたものなのか原作ありきのものなのか存じ上げないが、物語も展開もこれと言って特筆するべきものはなく弱い。ラストの締め方なんてもっとも苦手な部類の観客への託し方で。タイトルにしては、牛との関わり合い方も少なめ(それは別にいいか)。

グループで爪弾きにされていた料理担当のクッキーが、腹を空かせた中国人のキングルーと森の中で出会い救う。幾日が経ち、バーで再会し、クッキーがつくったドーナツに感動。ふたりで仲買主のもとに開拓地?で初めて連れてこられた1頭の牛(一緒にきた2頭は亡くなったらしい)のミルクを夜な夜な盗み搾り、それをもとにつくったドーナツがマーケットで爆売れ。弱気そうなクッキーはバレないように控えつつやろうと提案するも、ルーは「これから牛がたくさんくるからいまのうちに儲けてしまおう」と言う。はい。

ドーナツの評判を聞きつけた仲買主はその味に惚れ込み、将軍にお菓子を振る舞いたいからつくってくれと持ちかける。ドーナツを褒められ嬉しいクッキーは快諾。その横で名前も聞かれず、不服そうにも見えたルー。ラストに向けた展開への布石かと思いきやその気配ははっきりとは描かれず。ラストシーンでは、負傷して逃げ疲れたクッキーを置き去りにする(または裏切って売るなど)ことなく寄り添い眠る。なんと。さすがにそれで終わりは伝わってこなさすぎて焦ります。。
マーケットで割り込みされてドーナツが食べられなかった若者がその動向を狙っている姿も映したにもかかわらず、あれはなんだったのか。負傷したクッキーを手当てした老婆?たちは何者だったのか。ルーたちが結局手にできたドーナツを売って儲けた対価が意味するところは。続編『セカンドチキン』でも動いてるのでしょうか。

他人の牛の乳で大金を稼ぎ、罰を受けることもなく、何が起こることもない不思議な作品でした。クッキーがホテルをオープンさせたい夢などももはやどうでもよくなる気持ち悪さが残りました。仲買主にミルクの件、相談すれば良かったのにね。ハチミツもシナモンもどう仕入れたんだい。
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