ナンデヤネン

はなれ瞽女おりんのナンデヤネンのレビュー・感想・評価

はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)
4.2
これも以前から探していた作品でようやく観ることができて嬉しい。
自分は「日本の女優で誰が好き?」って聞かれたら岩下志麻って答えている。演技力はさりながら、演じる役柄の振り幅がすごい。だってこの後「鬼畜」を演じているんだから。この人は監督からの難しいオーダーに対して「私、できな〜い」とか言わない人だと思う。色んな役に果敢に挑戦している役者魂に感服する。本作で日本アカデミー最優秀主演女優賞を獲ったのは納得である。
一番印象に残っているのは、おりんの顔がずっと笑顔だったということ。なんでずっと笑顔でいられるの?瞽女さんはそういう顔立ちになるのか、岩下志麻の演技プランなのか分からないけど、周囲の人を和ませ優しい気持ちにさせる。おりんがなぜ笑顔なのか推理するに、幼きにして母親を失い天涯孤独になったが、成長とともに親方や先輩たちと三味線を弾く頃には自分の宿命を受け入れていたのではないかと想像する。一方でなぜ拒絶することなく男と寝てしまうのか。寂しかったから?快楽のため?ひとりの女性として認めて欲しかったから?これは最後まで答えが見つからなかった。
骸骨と三味線のラストカット。これを見てふと平家物語の「諸行無常の響きあり〜」の一節を思い出した。
ナンデヤネン

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