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PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTORのArAー1のレビュー・感想・評価

2.2
【一言】
《シュビラの正義を測る敵》の不在。
明確な目的を持つ純粋たる“悪”の空白。
抗システム存在の欠落は、全能神に石を投げる『PP』の本質の闕失で残念。
伏線回収は未完。
問題児の監視官2人が感情強すぎ。
チームを分散させる展開はバディ作品として致命的な悪手。



【映画の感想】
 「悪」と「目的」が曖昧すぎです。
 今までは、槙島聖護や鹿矛囲桐斗のような「確固たる《悪》が明確な《目的》を持って行動する」ことで、社会システムに対して反旗を翻す物語が分かりやすく展開されていました。同時に「悪がいるから正義を問える」というところ。でも、この第3期と『FI』では「ビフロスト」とかいう敵の存在自体が曖昧な上に、その行動目的が語られることは少なく、理解に苦しみました。

 今まではずっと物語の中心にはシュビラがいて、事件は全てがシュビラに収束する形で幕を閉じる構図でした。「シュビラの正義」を問う物語で、社会システムに抗い問題を提起する姿が一貫して描かれていたのが『PSYCHO-PASS』の魅力だと思います。
 でも、今回は違う。第3期と『FI』の内容が、シュビラへの打撃になるかと問われれば、否でしょう。途中までは惜しかったと思うんですけどね。社会の構造的問題を具現化した「ビフロスト」の設定を上手く回すことができれば、きっとより良いシュビラと社会への一撃になったと思うんですけどね......。

 「シュビラ」と「ラウンドロビン」
 この両者は、互いに社会構造を具現化したという点で似た存在。『1984』の「ビッグブラザー」的な、『007』の「スペクター」的な。この対決をもっと描けば面白くなったと思います。「シュビラの敵」という一番大事な席が空白のままで物語が進展し、そして終幕してしまったのが何よりも残念なところ。

 第3期はとても”つまらない”。
 第3期と『FI』は、すごく個人的で小さい部分がメインに語られるからつまらなく感じたし、正直、キャラの過去とかどーでもいい。「システムへの反抗」という大義を掲げた『PSYCHO-PASS』でありながら、今回の監視官=炯や灼はあまりにも感情的で、プライベートな部分に縛られすぎていると感じます。それに、過去に目を向けすぎでは。

 さて、『FIRST INSPECTOR』の物語。
 厚生省公安局本部を舞台にしたアクション映画としては、とても見応えのある作品になっていたと思います。でも、キャラを分断させたのは勿体ない! 敵の作戦としては、監視官や執行官らをバラバラにするのは「妙手」です。でも、120分の映画としては「悪手」だと思います。何人ものキャラを分断すると、物語の進展も切り替わりが激しくなるので、見辛くて仕方ないです。

 アクションと音楽はピカイチ!
 やっぱり、この2つは『PSYCHO-PASS』の魅力です! 近未来感が満載のクールなBGMは最高に痺れます! そして、近未来でありながら格闘技やパルクールなどの肉体を使ったアクションが多い部分が格好いいです!!
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