桃

パリの調香師 しあわせの香りを探しての桃のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

2022年45作品目。

コロナで1日半、嗅覚が麻痺した時のことを思い出した。
人生の楽しみを大きく削り取られたような喪失感と絶望感を味わった。
自分にとっては、季節ごとの花の香り、野菜を切った時の鮮やかさ、大好きな薬草リキュール、癒しのキャンドル…欠かせない喜びだったからだ。

主人公アンヌにとって嗅覚は商売道具でもあるし、自身の心とも連動するもの。

そして、嗅覚ほど、人の記憶に深く残るものはない、そんな思い出の香りの話が良かった。
ギヨームにとって父親を思い出す草刈りの匂い。
アンヌがホッとできる、幼い頃のキャンプを思い出す石鹸のコプラ油の匂い。
きっと、ギヨームの娘のレアにとって、父親と遊んだ海の潮の香りは何十年も残るものになるはず。
桃