さらしな

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のさらしなのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.4
水木のビジュアルがブッ刺さった+SNSでの評判が滅茶苦茶良かったため、思わず観に行ってしまった。鬼太郎作品は漫画もアニメもほとんど触れたことがなかったけれど、この作品を観るには問題なし。Twitterで「これだけは読んどけ!」と強く推されていた原作1話だけは読んで行きました。確かに、この話だけでも読んでおくと、エンドロールの味わいが段違いになります。
物語の舞台は昭和三十一年、従軍経験のあるサラリーマンの青年水木と後に鬼太郎の父となるゲゲ郎(水木命名)が、片や会社の密命と野心を抱いて、片や行方不明の妻を探しに、哭倉村を訪れる。閉鎖的な村、その村を取り仕切る一族、古い因習、怪異。水木とゲゲ郎は、その村で起きる凄惨な事件に巻き込まれてしまう。
因習村ミステリー、妖怪大アクション、水木とゲゲ郎のバディ、戦後の日本、戦争の悲惨さ、ゲゲ郎と鬼太郎の親子愛、ゲゲ郎と妻の夫婦愛、水木の変化、平和な世界への祈り、など非常に様々な要素を詰め込んだ超豪華鍋状態。マジで絶品だが、とにかく容赦がないし、人間が愚かで、なかなかにヘビー。
額縁に入れて飾りたくなるほどに美しいシーンの数々もまた、魅力的。哭倉村の景色は自然豊かで美しく、他にも幻想的な情景や、印象的なシーンも多い。惨たらしい背景があるからこそ、一層狂気的なまでに美しいのかもしれない。
欲張りてんこ盛りだが一つの作品として綺麗にまとまっている本作、自分に刺さりそうな何かを感じ取ったら迷わずに見て欲しい。両手で抱えても溢れてしまうほど多くの何か(その何かは人それぞれだろう)を、この作品は与えてくれる。
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