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戦場のピアニストのtomoのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.0
映画を撮る動機は人それぞれだろうが、恐らく本作は、歴史を、事実を後世に伝えるために形に残すべきと考えた人たちが作った作品だろうな。
ホロコーストの話は、どういう切り口で触れても常に、何故人間が人間に対してかくも残酷になれるのかと呆然とさせられるが、その一面を息苦しいほどに描写している。見ている途中何度も、実話、そう実話なのだと意識させられて苦しくなったし、このような残酷な話が約600万人と言われるホロコーストの犠牲者全員とその家族、近親者、身近な人たち全ての分だけあったのだと考えると信じられない思いがする。しかし間違いなく、つい80年前に我々日本の同盟国で行われていた事実なのだ。
歴史を伝えるということだけでも十分に価値のある映画だが、惜しむらくは、史実の鮮烈さ以上に「映画」である事の良さがあまり強く感じられなかった気はする。どこまでが脚色なのか詳しくは知らないが、過度な粉飾なしに誠実に作った結果なら仕方無いのかな。
シュピルマンが亡くなった約2年後に、ドイツ・ポーランドを含む4カ国の合作映画として作成されたという経緯にしみじみさせられる。先の大戦への向き合い方という意味では、我々日本人はドイツに学ぶべきところが多いと思う。
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