Arsenyevich

アステロイド・シティのArsenyevichのネタバレレビュー・内容・結末

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

ウェス・アンダーソンのファンとしては、やや物足りない印象。
「フレンチ・ディスパッチ」のようなビビッと刺激される60年代感覚も「ムーンライズキングダム」に見られる疾走感もない。

とにかく、箱。
舞台となるMOTELもカフェも、言ってしまえばアステロイド・シティ自体も巨大な箱(セット)。その意図が最後まで掴めなかった。
勿論狙ってはいるのだろうけど、動線は真上に広がる空のみ。
語られるテーマは「宇宙」と広大だが、
本作は狭い空間でやや詰め込みすぎたか。

割と早い段階で宇宙人が出てくるのは笑えるし、意表をついたトラップを監督自身は楽しんでるはず。

相変わらずのきちっと狙いを定めた画角と人物同士の距離感のセンスは抜群。
ジェイソン・シュワルツマンとスカーレット・ヨハンソンの窓越しの会話劇がその極み。お互い手の届かない関係性と気持ちの探り合いが、窓枠に切り取られてしまう切なさ。
「致命傷を見せながら、
痛みの深さを見せない」
正にこのセリフに集約されている。
Arsenyevich

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