オキアガリコブシ

オッペンハイマーのオキアガリコブシのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
「論理と現実は違う」

恥ずかしながら
初めて映画館で観るノーラン作品。

ノーラン監督がこだわり抜く映像と音楽を
フルで体感するならIMAXしかない!!
と思い、久々のIMAXで鑑賞。

久々のIMAXの音圧に幕間の時点で
圧倒されながらも3時間じっくり鑑賞。

やっぱりノーラン作品とだけあって
難解な箇所が多々あったし
複雑に交差していく時系列に戸惑いながらも
何とか付いていけた。
(予習してなかったら死んでた。笑)

難解でよく分からない箇所を残したまま
進んでいくけど
「どういうこと?」と思わせても
考える事を放棄させない絶妙なラインを
突いてくるのがノーラン監督の真骨頂なのかな?
最後の方になると繋がるようになってて
(それでも分からん所は多々ある。笑)
濃密な3時間を過ごせました。

日本人として引っかかる箇所が多いけど
特にキツかったのは
ドイツが降伏して日本もボロボロの時に
原爆を作る事にに躊躇し始める人達に対して
オッペンハイマーが原爆を作る事への正当性を訴えるシーン。
どんな事を理由付けをしても
この後本当に広島・長崎に落とす事を知らなかったとしても
原爆の正当性を訴えてしまってる事は結構キツかった。
現地のアメリカの人はこれを観て
少なくとも「バカだな」と思って欲しいな。

あとはトリニティ実験のカウントダウンも
かなり緊張感あった。
日本人として生まれて何度か見ている
原子爆弾を落とされる映像が
脳裏に焼き付いてるから
「あれが起こるのか。」という怖さから
ドキドキが止まらなかった。

原爆が落とされた後のオッペンハイマーの
聴聞会パートもしっかりとあって
そこもかなり面白かった。
時系列がかなり複雑やから
何のことか分からんシーンも多々あるけど
ある程度は分かれました。

あとラストシーンもすごかった。
「核分裂は成功した。それは大気に連鎖するのではなく、世界中に核が拡散された。
そんな世界に変えてしまった。」

原爆による大気への爆発の連鎖が起こる事は
理論上「ほぼゼロ」だった。
だが、現実には「世界中に原爆が作られた」

理論と現実は全く違う事を
改めて思い知らされた。

これから生きる未来で起こる事によって
この映画の見方も変わるのかな。

少なくとも核が使われることが
ありませんように。