久保田靖史さんの映画レビュー・感想・評価

久保田靖史

久保田靖史

  • List view
  • Grid view

他人の顔(1966年製作の映画)

4.5

 安部公房の原作小説は何度も読んでますが、この映画化作品を観るのは初めてでした。脚本は安部公房自身が担当。娯楽映画とするため、原作とは大きく設定が変えられています。
 映画は原作と違い結構笑えると云う
>>続きを読む

青春の門 自立篇(1977年製作の映画)

3.5

 五木寛之の原作を読んで先に80年代の東映版映画化作品を観てからの、この70年代東宝版を鑑賞しました。
 主人公・伊吹信介が、筑豊から早稲田大学に入学してから過ごす東京での生活を描きます。五木寛之の原
>>続きを読む

青春の門(1975年製作の映画)

4.0

 五木寛之による原作を読み、菅原文太や松坂慶子出演の1981年版映画を先に観てからの今回の1975年版の鑑賞です。
 監督の浦山桐郎は「キューポラのある街」を撮り、朝鮮人にシンパシーを持っている人物と
>>続きを読む

青春の門 自立篇(1982年製作の映画)

4.0

 第1作の「筑豊篇」の1年後に公開されたこの第2作「自立篇」は、主人公の伊吹信介(演:佐藤浩市)が早稲田大学に入学後の東京での生活が中心となっています。
 1950年代後半、その後の学生運動の原点とな
>>続きを読む

ふたり(1991年製作の映画)

4.0

 赤川次郎原作。石田ひかりが女優として飛躍するきっかけとなった作品です。中嶋朋子が事故死した後、妹のそばに幽霊として現れると云う展開は「異人たちとの夏」に続く大林宣彦らしい展開。また大林宣彦の故郷・尾>>続きを読む

姑獲鳥の夏(2005年製作の映画)

3.5

 北海道出身の作家・京極夏彦のデビュー作を、あの実相寺昭雄監督が映画化した作品と云う事で、原作小説を読んだ後で鑑賞してみました。
 実相寺昭雄が69歳で胃がん死する前年の作品ですが、あの"実相寺アング
>>続きを読む

グラスホッパー(2015年製作の映画)

3.5

 伊坂幸太郎原作小説を読んでから観ました。原作は「殺し屋」の世界を描く一流のハードボイルド小説。原作ファンからは酷評される事も多いこの映画ですが、私は概ね好意的。この本の心理描写はなかなか映像化は難し>>続きを読む

新・男はつらいよ(1970年製作の映画)

4.0

 シリーズ4作目。栗原小巻が大好きなコマキストの私にとって、彼女がマドンナと云うだけでスペシャルな作品である事は確定です。25歳の彼女、やはり美しく可愛い😍🩷です。
 監督が山田洋次ではなくて、あまり
>>続きを読む

サマー・ナイト(1982年製作の映画)

3.8

 原題が「A Midsummer Night's Sex Comedy」と云う事で、SEXをテーマに描いた軽いソープオペラのような作品です。またウディ・アレンとしては珍しくニューヨークを離れた田舎で撮>>続きを読む

砂の女(1964年製作の映画)

5.0

「砂の女」1964年日本🇯🇵映画 勅使河原宏監督
予告編
https://youtu.be/7kX4h_sEBiI?si=IVx7LXMj5GQLe6IK

 久しぶりに安部公房「砂の女」を読んだ勢い
>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

 ヴィム・ヴェンダースは「アメリカの友人」や「パリ、テキサス」は大好きでしたが「ベルリン・天使の詩」で嫌な予感がして「夢の涯てまでも」で大いに落胆して以来、もう二度と新作を観る事はないのかな?と思って>>続きを読む

カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)

5.0

 当時大学生だった私が以後ウディ・アレンが大好きになるきっかけとなった映画です。久しぶりに再鑑賞しました。
 スクリーンの中から憧れのムービースターが出てきて、一緒に過ごす事ができる。例えば「ローマの
>>続きを読む

ゴールデンスランバー(2017年製作の映画)

3.8

 伊坂幸太郎の同名小説を原作とし、2010年公開の日本映画化作品を舞台を韓国・ソウルに移しリメイクした映画。物語の大枠を借りながらも、内容は優れた韓国ノワール(犯罪)映画となっていると思います。原作至>>続きを読む

ゴールデンスランバー(2009年製作の映画)

4.0

 伊坂幸太郎の同名小説の映画化。原作の舞台である仙台での撮影。ある権力により首相爆殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇を描いた作品。国家、警察、マスコミが完全な悪と描かれる一方で、友人や同僚・家族の協力や>>続きを読む

北京的西瓜(ぺきんのすいか)(1989年製作の映画)

4.3

大林宣彦監督がトークショーで「人間がどこまで優しくなれるか?その怖さを描きたかった」と述べた作品です。
 千葉県船橋市に実在した八百屋の物語。中国人留学生に安売りした事をきっかけに、あらゆる生活面の世
>>続きを読む

明治天皇と日露大戦争(1957年製作の映画)

3.0

 これは右翼監督で「早撮りの巨匠」と云われた渡辺和男による作品で、正直映画として優れた物ではありません。しかし「全国民が一人残らず見る映画!」と宣伝された結果、観客動員数2,000万人(当時の国民の5>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

5.0

 私が大林宣彦の作品を追いかけて観るようになるきっかけとなった大好きな映画です。有名なすき焼き屋のシーンで涙腺崩壊するのは毎度のことですが、今回はもう主人公(演:風間杜夫)が銀座線に乗って浅草に向かう>>続きを読む

フレンチ・コネクション2(1975年製作の映画)

4.0

 1971年の第1作目の続編。今回はニューヨークから"ポパイ"ことドイル刑事(演:ジーン・ハックマン)が単身マルセイユへ乗り込み前回取り逃がした麻薬王を追うと云うストーリーです。
 私にとって嬉しかっ
>>続きを読む

フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)

4.0

 1961年に実際に発生したフランス🇫🇷からの麻薬密輸事件とそれを捜査したNY市警の2人の刑事を描いた映画です。
 2人の刑事のうちジーン・ハックマン演じる"ポパイ"と言うあだ名のドイル刑事(演:ジー
>>続きを読む

野ゆき山ゆき海べゆき(1986年製作の映画)

4.0

 太平洋戦争中の多くの若者が命を落とした暗い時代、瀬戸内の小さな港町を舞台に描かれた大林宣彦流の反戦映画です。鷲尾いさ子の最初の主演映画でした。
 子供の戦争ごっこを国家間の戦争と変わらないと教える教
>>続きを読む

日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声(1950年製作の映画)

4.0

 戦後初の戦争(反戦)映画として知られてます。この時代特有の日本語台詞がはっきり聞き取れないという問題はありますが、なにせ敗戦後僅か5年後に作られたという事もあり、実際に戦場を体験したリアルな目での描>>続きを読む

ビルマの竪琴(1985年製作の映画)

4.0

 1956年に市川崑自身が映画化した作品のセルフリメイク版。市川監督自身、当初からカラー撮影を希望していたのでその念願が叶った形です。
 ビルマに置き去りにされた日本兵の遺体を葬いその霊をなぐさめるた
>>続きを読む

プラトーン(1986年製作の映画)

5.0

 封切り時に劇場で観て以来36年振りの鑑賞でした。オリヴァー・ストーン監督が自らの従軍経験を注ぎ込んで製作したベトナム戦争映画です。アカデミー賞作品賞など4部門受賞など高く評価された作品でした。
 フ
>>続きを読む

砲艦サンパブロ(1966年製作の映画)

4.0

 舞台は1920年代の中国。国民党と共産党が入り乱れ、欧米列強の支配もまだ続いている。そんな中長江に何故アメリカ🇺🇸の砲艦が居るのか、その辺りの歴史背景を知っておくとより楽しめると思います。
 スティ
>>続きを読む

ビルマの竪琴 総集編(1956年製作の映画)

3.7

 1985年に同じ市川崑監督によりリメイクされている映画です。まだ戦争の記憶が新しい1956年の製作です。
 まずここに出てくる音楽学校出身の井上隊長(演:三國連太郎)の部隊は、皆元気そうで合唱しなが
>>続きを読む

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

5.0

 太平洋戦争後のソ連による日本人のシベリア抑留を詳しく描いた映画です。原作は辺見じゅん「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」です。この映画は遺書も含めた手紙が大きな役割を持っていて、その度に涙が止まらなく>>続きを読む

男たちの大和/YAMATO(2005年製作の映画)

3.5

 毎年8月は戦争映画を観る事にしてます。今年はまずラストの長渕剛の曲が良いよと言う従兄弟の紹介で、この映画を観ました。
 戦艦・大和が沖縄への特攻戦に向かう姿が描かれています。皆死を覚悟した上での出撃
>>続きを読む

青春の門(1981年製作の映画)

3.7

 五木寛之の小説の映画化です。これは「青春の門」というよりは「性春の門」まあ、家に松坂慶子が母親として居れば、そりゃモンモンしちゃいます。これが映画初出演の佐藤浩市演じる主人公の高校卒業、童貞喪失まで>>続きを読む

男はつらいよ フーテンの寅(1970年製作の映画)

3.8

 シリーズ第3作で数少ない山田洋次が監督ではない作品です。この頃の山田洋次は「男はつらいよ」シリーズは終わりで良いと思っており、この作品と次の4作目は脚本のみ書いています。
 この回も寅さんは充分笑わ
>>続きを読む

マンハッタン(1979年製作の映画)

4.0

 この映画はなんと言ってもモノクロのニューヨークの映像にジョージ・ガーシュウィンの音楽。私にはこれだけで充分です。
 内容は後のニューヨークを舞台にしたウディ・アレン映画の先駆けみたいで、特筆すべき物
>>続きを読む

飢餓海峡(1965年製作の映画)

5.0

 実は来週末に私は青森県下北半島に、この映画のロケ地巡りに行きます。その前に再度見返してみたのが今回の鑑賞でしたが、もう何回も観てるのに、また新たな発見がありました。
 水上勉の原作との違いは、恐山の
>>続きを読む

インテリア(1978年製作の映画)

3.8

 ウディ・アレンのお笑いなしのシリアスドラマの1作目です。3姉妹が出て来ますので、後の「ハンナとその姉妹」を思わせます。こちらはウディ・アレンが登場して笑わせてくれないので、少し寂しく感じます。またこ>>続きを読む

ミニミニ大作戦(2003年製作の映画)

4.5

 1969年の同名映画のリメイクですが内容は別物です。元の方は愛すべきB級映画でしたが、こちらは「ハイテク・ルパン三世」とも言うべき痛快クライムアクション映画、そして勧善懲悪の復讐劇でもあります。
 
>>続きを読む

ミニミニ大作戦(1969年製作の映画)

3.8

 いきなり冒頭からランボルギーニ・ミウラが現れ、我々スーパーカーブーム世代は嬉しくなります。また私がまだ20代の頃はローバーのミニを買おうかと、本気に考えていた事もありこの映画を観るのは楽しみでありま>>続きを読む

きみがぼくを見つけた日(2009年製作の映画)

3.0

 主人公のヘンリーは遺伝性の「時間旅行症」で、突然タイムトラベルが発生し衣服や所持品は持って行けないため、「行き先」にはいつも全裸で到着する。6歳の少女クレアの前に現れた全裸のオッサンにいつか恋して結>>続きを読む

教祖誕生(1993年製作の映画)

4.0

 原作は1990年のビートたけしによる同名小説。新興宗教団体への痛烈な皮肉が込められたコメディであり、教団内の凶暴性も描いてます。
 小川知子が「幸福の科学」の広告塔となったのが91年、桜田淳子の統一
>>続きを読む