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殺しの烙印のAZのレビュー・感想・評価

殺しの烙印(1967年製作の映画)
3.4
殺し屋たちの順位争い。『ピストルオペラ』は今作の後日談らしい。久々に見た宍戸錠の頬に違和感。昔の役者の役作りって凄い。
実験的な表現は今作でもところどころ垣間見える。完全に大衆向けではないが、一部の人のハートを鷲掴みにした作品であろう。『ピストルオペラ』のように各殺し屋に見た目の個性はあまりないものの、佇まいや表情、性格や思想がどこかずれている感じが面白い。主人公の花田がやたらご飯を炊かせようとするのが面白かった。

B級映画は必ずエロを入れていたという話を聞いたことがあるが、この頃の日活も同じ様な考えでエロで客を釣っていたみたい。その狙いが垣間見えるのもまた今作の楽しみ方かも。かといってエロいかと言ったらそうでもない。この頃からすでに感覚的に自分が面白いと思うものを作ろうとしているのが伺える。
若干説明不足な感じでストーリーを読み取りづらかったが、晩年に開花する鈴木清順のアーティスティックな香りが感じれる作品だった。

日活の社長は「米飯の炊ける匂いに恍惚とする」シーンが気に入らなかったらしいが、むしろそこがめちゃくちゃいい味出しているのが皮肉的。自分を貫く人はかっこいい。
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    ○フリーランスのデザイナー。 graphic design / web design / product design / etc... ○2024年TOP10 1位『シビル・ウォー アメリカ最後…

    ○フリーランスのデザイナー。 graphic design / web design / product design / etc... ○2024年TOP10 1位『シビル・ウォー アメリカ最後の日』 2位『夜明けのすべて』 3位『ぼくのお日さま』 4位『ルックバック』 5位『哀れなるものたち』 6位『アメリカン・フィクション』 7位『マッドマックス:フュリオサ』 8位『デッドプール&ウルヴァリン』 9位『キャドー湖の失踪』 10位『chime』 ※2023年公開なので入れてませんが『PERFECT DAYS』は4位。 ○2024年印象に残っている作品 『憐れみの3章』/『ワッツ・インサイド』 ○映画評価基準 ストーリー/構成/演出/映像/音楽/独自性/キャスト/個人的な印象など ○その他 ・2019→100本、2020→200本、2021→250本、2022→349本、2023→347本、2024→329本 ・星4以上がオススメです。基本的に星2以下はつけません。作り上げただけですごい! ・批評と感想のバランスをしっかり保ち、言語化していきたい。 ・シネフィルが好きそうな映画も、メジャーなエンタメ映画も、分け隔てなく見ていきたい。 ・基本頭の整理目的です。