これは見応えあり。
異常者による連続殺人事件を主にしたサイコスリラーと思えば、冤罪が主たる話。
無実の人間が状況証拠と、思い込みな目撃証言によって、犯人に仕立て上げられていく過程が、この上なくスリラー。
それでいて、サイコパスの目線もきちんと描かれていく。それも観客が恐怖に陥れていく。
はたまた、犯人が自分のミスで追い込まれていくところの描き方も秀逸。
そして、スリラー一辺倒かと思えば、スパイスのように散りばめられた、コメディエッセンス。
警部の奥さん、いいわ。
120分にも満たない尺で、これだけいろんな心理描写を描き、最後にきちんと収めていくのはヒッチコックだからの神業。
そのあたりの一切の無駄を省く手法は、クリント・イーストウッドも近いかもしれない。