このレビューはネタバレを含みます
『イエスタデイ』にあれほどまで哀愁を感じたことはなかった。ノスタルジックに酔っていると、少年時代にタイムスリップしていた。そんな洒落たイントロから始まり、3時間という長さを感じさせなかった。
聴覚に響く効果が多かった。口笛、パンフルートのようなマカロニウエスタンならではの楽器から銃声まで、随所のこだわりがアクセントとなり、他マフィア映画と一線を画していた。この映画に漂う悲哀を一層引き立てていた。
残念だったのは物語のクライマックスがマックスとの再会ではなく、扉の向こうのディビッドを視認した瞬間になっていたことだ。
35年ぶりの再会にドラマはなく、実は彼が生きていた!というどんでん返しを用意することばかりで、肉付けが足りてなかった印象。
何故彼が死にたかったのか、納得感が得られなかった。罪悪感があったならば何故今まで...?
彼は本当に死にたかったのだろうか。仲間を裏切り、死を装い、政界まで進出し、虎視眈々としてきた彼が?
ここは理屈で考えても仕方ないのだろう。ヌードルズの最後の笑顔もしかり、この映画は深く考えるのではなく画と情緒を味わうものなのだと思う。
ヌードルスは誰に追われてたのかわからずモヤモヤしていたんだけど、あれはフランキーの追っ手だったんだね。マックスとヌードルスのフロリダ行きの会話を聞いていた彼のシーンがスッカリ頭から抜けていた。