ユカリーヌ

ジャッジ!のユカリーヌのレビュー・感想・評価

ジャッジ!(2013年製作の映画)
4.0
【過去に観た映画】2014.1.13

豊川さんと妻夫木くんが出てるから観るかなという位であまり期待していなかったが、
とてもよかった。
けっこう泣いてしまった。

脚本がいい。
トヨタのドラえもんシリーズ、ソフトバンクの
家族シリーズを手掛けたCMプランナーであり、
映画「犬と私の10の約束」の脚本も書いた澤本嘉光だもの。

様々なアイテムを散りばめて、きっちり伏線をはって、回収していく細やかな仕込みが上手いなあ。
あざといようでいて、すんなりと心に入り込ませる。

スポーツのように勝ち負けがはっきりしていない、
クリエイターの世界での勝負。
いいとか悪いとかを決めるのは感覚でしかないの
だけど、だからこそ、様々なしがらみだとか裏工作で
どうにでもなる世界でもある。
そんな世界をコミカルだけど、きっちりと描いている。

常にヒットを飛ばすクリエイターが負けて落ち込む時、いつもダメな男が
「一回ダメだったくらいでなんですか、
 俺なんてずっとダメだって
 言われてきてるんだからなあ、一回ダメだからって偉そうにすんな!」と叱咤する
シーンは、もう泣けて、泣けて。

作品が誰かに「選ばれる」ということ、他人の評価の上でしか通過できない世界の
苦しさは自分自身も痛いほど解かっているので、
共感してしうとこが多多あった。

豊川さんのサイテー男っぷりと
妻夫木くんの清さとが味わい深い。


私も初めて就職したのが銀座にある広告代理店だったので、
当時を思い出してしまった。
長いものに巻かれて、自分の感性を殺してしまうのか、不器用でも、自分の感性に忠実に生きるのか、考えさせられる。


原作だと思って買ったら、
脚本を元にして脚本家が書いたノベライズだった。
でも、おもしろくって笑いっぱなし。
言葉のセンスが好き。
ユカリーヌ

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