グレートマウンテン

選挙の勝ち方教えますのグレートマウンテンのレビュー・感想・評価

選挙の勝ち方教えます(2015年製作の映画)
3.6
原題は「我々のブランドは危機」。

エンドロールに流れる音楽はクーデターで殺されたチリの歌手ビクトル・ハラの曲(出発)。勘のいい人は、それだけでこの映画のテーマが何か分かるはずだ。

これは選挙の裏を描いたブラック・コメディでも、毛色の変わったエンタテインメント映画でもない。

それらを要素として織り込んではいるが、ラストシーン、空港に向かうクルマが群衆と警察の衝突に巻き込まれる中、そのクルマを降りて歩き始める主人公の姿にこの映画のすべてがある。

エンタテインメントと見る人に生き方の変革を問いかけるシリアスさの両立が見事な作品。あの非道なイラク戦争以降、アメリカ映画にはこういう作品が多くなった。
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    20世紀の終わり頃、全くのシロウトながら札幌の某タウン誌で映画評を書いていました(笑) ドキュメンタリー映画の自主上映会を主宰したこともあり。16ミリ映写機は重かった(泣) 名画とは、それまでに映…

    20世紀の終わり頃、全くのシロウトながら札幌の某タウン誌で映画評を書いていました(笑) ドキュメンタリー映画の自主上映会を主宰したこともあり。16ミリ映写機は重かった(泣) 名画とは、それまでに映画で描かれたことのない何かを描くことに成功した映画だと思います。たとえば、「ローマの休日」での王女がひとりの女性に変貌していくあのシーン、「戦艦ポチョムキン」の乳母車の階段落ち、「幸福なラザロ」でオルガンの音がラザロについて行くシーンなど。 チャップリン映画にはひとつの作品の中にそういうシーンがいくつもあって驚嘆します。 自分の価値観や世界観を揺るがす、言ってみればアイデンティティに危機をもたらすような映画が優れた映画だと思いますし、映画や文化芸術の意義はそこに尽きると思います。 2024年3月、超短焦点レーザープロジェクターを購入。やはり映画は100インチ以上で見るべきと痛感。 ハンドルネームは好きなコーヒーの銘柄です。珈琲豆自家焙煎して飲んでます。 映画好きな彼女募集中