MasaichiYaguchi

ヒヤマケンタロウの妊娠のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ヒヤマケンタロウの妊娠(2022年製作のドラマ)
3.9
坂井恵理さんによる漫画を斎藤工さんと上野樹里さんの共演により、Netflixにて実写ドラマ化した本作は、青天の霹靂のような異変に見舞われた主人公の桧山健太郎が、その異変を通して人生に対する考え方や、人に対する思いについて変化していく様を“気付き”のドラマとして描いていく。
原作では桧山はレストランチェーン企画部部長だが、ドラマ版では広告代理店のトップ営業マンという設定に変更されている。
“スマートに生きる”ことを信条に第一線で仕事をこなし、特定の恋人も作らず人生を謳歌していた桧山健太郎だが、自身に訪れた予想外の出来事に慌てふためき、どうして良いのか分からない状況に陥る。
実質上の彼のパートナーである瀬戸亜季をはじめ周囲も戸惑いを隠せない。
彼の周囲の人々を演じる筒井真理子さん、リリー・フランキーさん、岩松了さん、高橋和也さんら個性派俳優の方々のリアクションが思わず笑いを誘う。
桧山が<人生の思いがけないこと>に向き合い、それまでの先入観や周囲の無理解と対峙することで、自分たちの中にもある”無自覚の偏見”に初めて気が付き、考え、ともに成長していく様子が真摯に描かれている。
更に「“らしさ”って何なんですかね?女らしさとか、男らしさとか」という桧山の言葉で、社会に刷り込まれた固定観念にハッとさせられます。