MasaichiYaguchi

沈黙の艦隊 シーズン 1 ~東京湾大海戦~のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

4.0
かわぐちかいじさんのコミック「沈黙の艦隊」を、大沢たかおさん主演・プロデュースで実写化した本作は、2023年9月に公開された劇場版にはない未公開シーンや、劇場版の続きとなる沖縄沖海戦、そして東京湾海戦というクライマックスまでを含め、全8話の連続ドラマとして壮大なスケールで描く。
海上自衛隊の潜水艦が米原潜に衝突して沈没する事故が発生し、潜水艦の艦長・海江田四郎を含む乗員全員が死亡と報道されたが、実はその事故は日米が極秘裏に建造した日本初の高性能原子力潜水艦「シーバット」に彼らを乗務させるための偽装工作だった。
ところが、海江田はシーバットに核ミサイルを搭載すると突如反乱を起こし、逃亡してしまう。
やがて海江田は、自らを元首とする独立戦闘国家「やまと」と世界に名乗りを上げる。
アメリカはやまとを核テロリストと認定して撃沈を図り、そして「たつなみ」の艦長の深町洋は海江田に対し並々ならぬ感情を抱いて、アメリカよりも先にやまとを捕らえようと追跡を開始する。
制作は、映画「キングダム」シリーズや「ゴールデンカムイ」等のヒット大作を手がけるクレデウスで、日本のエンタテインメント作品では初めて海上自衛隊・潜水艦部隊の協力を得て撮影した実物の潜水艦と、日本屈指のVFX技術を融合し、臨場感たっぷりの映像世界を創出している。
ウクライナ戦争とガザ戦争は、国家・非国家主体からなる対立する2つのネットワークのどちらの価値観や利益がポスト「冷戦後」の世界を支配するかをめぐる壮大な地政学的な闘争の反映のように思えるが、未だに終息の見通しが立っていない。
そんな世界情勢の中、本作は国際秩序や核兵器という、世界が直面する重厚なテーマに切り込んでいて、国内外の観客へ熱いメッセージが込められていると思う。