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呪怨:呪いの家のmichikoのレビュー・感想・評価

呪怨:呪いの家(2020年製作のドラマ)
3.0
本作には驚く事に伽耶子も俊雄も出てこない。幽霊をボカシもせずにくっきりとコンスタントに登場させるのが“呪怨”らしさと思っていたが、そうでは無かった。人の業、憎悪、穢れ、それらを描き切る事が本シリーズの根幹であり、本作もまた文字通りの“呪怨”を描いていた。そして遂に本作でその呪いは映像作品という媒体を抜け出して我々のレイヤーまで侵食を許してしまうのである。

1988年の「女子高生コンクリート詰め殺人事件」、88年から89年の東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(通称・宮崎勤事件) 、94年の松本サリン事件、95年の地下鉄サリン事件と阪神・淡路大震災、そして97年の神戸連続児童殺傷事件。
我々日本人の心中に深く刻みつけられたこれらの凶悪事件、大震災の記憶。そこにこの“呪怨”は入り込んで来たのである。まるでその狂った物語とこの狂った現実が地続きであるかのように、まるで我々の近くに何処にでもこの呪いの家があるかのように。
当時の核家族化や女性の社会進出が進み、家族という構成に何処かしら歪みが出て来た日本。その中での若者達の鬱屈とした雰囲気でじわじわと締め付けられる。この日常のすぐそばにある歪みと狂気が“呪怨”らしさなのであろう。
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