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真夜中のミサのyokoのレビュー・感想・評価

真夜中のミサ(2021年製作のドラマ)
4.5
発端は愛、そして愛で終わる

ホラーを悟らせないようにホラーを描くのが上手いと解説されていたがむしろ
ラブ感を悟らせないようにホラー風に描くのが上手いそういう感じがした。なんだろうミッドサマーかと思ったらサインでしたみたいな。

最初は神父役の好演もありいわゆる、なりすましもの、カルトものかと思わせる。宗教って怖い〜、盲信って怖い〜、と感想もあるがそうではなくただのラブなのだ。

ようは認知症が進んだ神父が天使の力によって若返ったのだが、別人のフリをして戻ってくる。その力でかつての恋人を若返らさせるために。なので終わって見れば実はサスペンス、ホラーではないのだが。

タイトルは真夜中のミサだが原題はmidnight mass原題もミサとマスをかけているのだろうがマスの方が集団心理、空な人たちの感じが出て良いと思う。ミサだといかにもカルト神父のお前も○○にしてやろうか〜的なサスペリア的なヘレデタリー的な儀式感が出てくるが(それも間違ってないが)それも上部の恐怖感の演出が神父のラブ感、作品のラブ感を悟られないよう上手くミスリードしているかもしれない。実は神父は何も強要とか強制とかしてないのよね。そして嘘を嫌いなるべく嘘をつかず、だけど目的が悟られないよう会話を繋げようとする。初見だとアメリカンビューティに出てくる不動産屋とかウルフオブウォール・ストリートのジョルダンベウフォートみたいに見えてこちらも斜に構えるが、実は表面的なごまかしをしていないのだ。それが彼の信条。ぱっと見口八丁手八丁タイプに見えるが真逆である。それが分かると退屈なシーンも面白く見える。傷つけた人間もハメるというより本気で助けようとしてるように見える。

あのベルセルクに出てくるグリフィスみたいなやつは天使じゃなくて悪魔、吸血鬼という解釈が妥当だと思うが、そもそも天使なんて美化してるだけで立派なもんじゃないというメッセージもあると思うので天使で良いと思う。

エンジェルモードになってなくてもやはりああいう田舎の人たちの不気味な感じは映画ばえするなあとツボ。

医者のサラの凛とした佇まいどことなく骨っぽく男っぽく、科学的な態度は最後の対面で繋がりと対比を上手く見せてる。ちゃんと神父と親子に見える。

おそらく好感度最下位ババアの(名前は分からなくとも分かるはずだ!)ライフルのスナイプ上手いのが謎、こういうのは興醒めする。

フィルモグラフィーを観てみるとドクタースリープ以前の映画はジャケット見るだけでもただのB級ホラー感むんむん。
ドラマの方は全二作とも評価が高いので不思議だw
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