さらしな

チェリまほ THE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしいのさらしなのレビュー・感想・評価

3.8
原作未読、ドラマは全話視聴。
主人公を「仮面ライダービルド」で万丈を演じた赤楚さん、相手役を群馬のど田舎出身の町田さんが演じるということで、役者目当てで見始めたのだが、予想を大きく上回る面白さ。タイトルで敬遠してたことを後悔するくらい。
30歳過ぎても童貞の主人公安達が、触れた相手の考えを読むことができる魔法の力を手に入れる、というなかなかぶっ飛んだ設定ながら、物語への組み込み方が上手い。最初はその力を仕事や対人関係を円滑にするために使うが、次第にその力を使うことに疑問を感じるようになり、自分の言葉で自分の思いを伝える大切さを学んでいく。
この作品の良いところは、恋愛モノにありがちな当て馬や極端に性格の悪いキャラが出てこないところだろう。また、安達も相手役の黒澤も基本的に人間が出来た人たちなので、思いがすれ違うことはあるけれど、きちんと話し合って解決することができる。非常にストレスフリーな作品だ。
今作はドラマの後日談にあたり、安達と黒澤が結ばれた後の話になる。イケメンがほのぼのラブラブする姿は微笑ましいし、とにかく温かくて幸せな世界なのだ。あまりにも二人の関係が上手くいき過ぎて現実味がない、現実はそんなに同性のカップルに甘くない、という意見もあるかもしれないし、悲しいことに実際のところ現実はまだまだ厳しいけれども、創作の中でくらい、完璧に幸せな世界があっても良いと思う。そして、いずれはこの作品のように、性別に関わらず愛し合う二人を、誰もが祝福することのできる世界になればこれほど素敵なことはないだろう。
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