だいこんおろし

VORTEX ヴォルテックスのだいこんおろしのネタバレレビュー・内容・結末

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

草花に囲まれたベランダでワインを傾ける二人。静かに寄り添う姿が微笑ましい‥それからどれほどの時間が流れたのか、同じアパートメントは全く違う景色になっていた。
分割されたニ画面はただひたすら二人の姿を追う。。見るのも辛くなる生活を淡々と映し出す。同じ屋根の下にいても孤独。心臓の持病に苦しむ夫と認知症が進行する妻。老いて壊れていく者同士のすれ違いは残酷だ。
冒頭の「心臓の前に脳が壊れるすべての人へ」も露悪的な台詞だ。
しかし、もう寄り添うことのない夫婦の姿から、少しずつ見えてくるものがあった。世間から外れた子どもがいて、長く付き合う愛人がいて、それでも二人で暮らし続けて今の二人であること。
最期の時を見届け、家は片付けられる。冷徹さの底にはありのままを見つめ受けとめる愛もあった。
だいこんおろし

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