Yumyum

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのYumyumのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

めちゃめちゃ面白かった!

身内や周りが「意味わかんない」「つまんない」って感想ばっかりだったので「えー…?(いかぶしげ)」と恐る恐る見たがめちゃめちゃ面白かった!!!夜中に1人でギャハギャハ笑っちゃった。

多分、身内含め「マルチバース」設定をいまいち咀嚼しきれないから「?」なのかな、と思った。

マルチバースは多元宇宙(世界)のことで例えば「朝にご飯を食べる世界線の自分」と「朝に麺を食べる世界線の自分」と「朝にパンを食べる世界線の自分」みたいに「己の選択で増える"あったかもしれない世界"」のことだよね?

この作品では、そんな多元宇宙(世界)の一つで「悪いやつ」が生まれて、そいつが「自分の世界だけでなく、他の多元世界をも破壊している、そしてその悪いやつは主人公の命をなぜか狙っている」から「とある世界の主人公の夫」が「なんのとりえもない世界線(本編初期軸)の妻(主人公)」に警告と助けをもとめて「(本編初期軸の)夫の体を借りて意識をリンクして」会いにくる、ところから話が始まる。

とにかく設定が面白すぎる。「マルチバース設定」だけに限れば最近だと「スパイダーバース」や「スパイダーマン・ノー・ウェイ・ホーム」と同じ設定ではなかろうか?

"リンク(多元宇宙の自分の能力を現次元の自分とシンクロさせること)"するために一番近い多元世界の自分だとあんまり強くないし、ほぼ変わりない自分だから(朝は米派か麺派かくらいの違いしかないとか)より遠くの「強さ(戦闘能力)」をもつかもしれない自分とリンクするために「すっとんきょうな行動をすること(現次元ではやらないことをすることで他の次元の自分とリンクしやすくする)」でリンクの加速度(ジャンプ力)を上げてリンクしやすくする設定とか面白すぎるし、ソーセージ次元とかなんだよとギャハギャハ笑った。その次元設定が戦闘に活かされる(足技)のも伏線回収が凄すぎて唸った。

だから「(リンクするために)夫」は「リップクリームをかじった」んだなと。

結局は「(多元宇宙で主人公によって修行という体の虐待されてきた)娘」が犯人なのだが…(だから多元宇宙に存在するありとあらゆる主人公を殺しまくってきた)

ラストバトルの内容が良すぎて(敵として向かってくる人たち{a}に、多元宇宙にいる人たち{a´}が"心揺さぶられるもの"をリンクさせて非武力で戦うさまが)震えた。
愛を求めてるものには愛を、愛した人の香りを忘れられないものにはその香りの香水を、SMがすきなものには痛みを。笑ってしまった。

「やっぱり家族は一緒じゃなきゃね!」なラストにはうーん…だった。

娘に自分の嫌な部分を重ねて苦しんだり、娘も母の態度や言葉や意識の違いにイラつくなら離れてもいいと思ったんだが…去り行く娘に「それでもあんたが家にいつでも帰ってこれるようにしとく」くらいドライでも良かったな、と。
娘に必要なのはハグと距離と時間だと思った。だから主人公はそれらを与えてあげたらいいと思う。
いつでも側にいて、ハグしあって、なんでも話し合える関係だけが家族ではないのだから。

色々な設定もりもりだがテーマは「他者(家族+親関係含めた)とのコミュニケーション」なのかなとも思った。

殺しあいしてた相手との多次元での記憶をかいした和解や共感や解毒をするような映画だったから。
特に税務官の女性との関係性はめちゃめちゃ良かった。恋人で家族で友だちで職員と客でハンターと逃亡者で。

ただ道ですれ違った人間が他の世界では自分の家族だった、みたいな、「かもしれない」には色んな可能性があるよね。面白いよね。を詰め込んだ良作だった。
Yumyum

Yumyum