さらしな

ケイコ 目を澄ませてのさらしなのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
4.3
主人公のケイコは生まれつき聴覚障害を持つプロボクサーである。ホテルの清掃員として働きながら、試合に向けて日々練習を積み重ねているが、このままボクシングを続けるか悩んでいた。そんな中、通っているボクシングジムが閉鎖することになり……というあらすじ。
主人公が障害者ということで、障害を持つが故の日々の生きづらさなども描かれているが、非常にさりげなく、でも真摯で、わかりやすく、いやらしくない。これが、凄いなぁと。ケイコの悩みは障害に因るところもあるのだろうけれど、それだけではなく、とても普遍的でもある。障害を持たない人でも共感できる部分は多くある。
ケイコの周りには、彼女を応援してくれる人がたくさんいる。ケイコの弟やその彼女、ジムの人たち、勤務先の手話のできるおばちゃん、友人。障害者だから、と過度に庇護することもなく、配慮はしつつ対等に関わるところも、とても理想的で、本当に優しい人たちなんだな、と思う。
あまり表情を表に出さないケイコだか、その分情景描写が雄弁だ。特に光の使い方が美しく、ケイコの内面をありありと映し出す。
観終わった後、ちょっと生きることに対して前向きになれるというか、しょーがねーな生きてみるか、と思える映画。
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