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マリリンの瞳は黒かったのbirichinaのネタバレレビュー・内容・結末

マリリンの瞳は黒かった(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

人気俳優Stefano AccorsiとMiriam Leoneが頭のイカれた(問題行動で社会に迷惑をかける)主人公を面白おかしく演じている。SAは超神経質でキレると暴力的になる元シェフのディエゴを、MLは虚言癖の女クララを演じ、2人とも役作りを楽しんでいる。SAはもともと芸達者だったけれど、MLはミス イタリアとしてデビューした頃はきれいなだけの女優だったが、近年めきめき演技上手になり、コメディセンスも抜群。前髪をパツンと切ったヘアスタイルは今回の役にぴったり。フェイク尽くしの生活を送っているのを象徴するかのようにフェイクファーの衣装が多かった。最初見たときは3.5点くらいの印象だったが、気になったセリフがあり見返すうちに細かい仕掛けやセリフの面白さに気付いて評価が上がった。
後半、ディエゴの父親が仕事の面接に行った息子のためにトルテッリーニ(おめでたい時に作る料理)を作って待っていたのには愛情を感じた。この父親が息子にする説教は自分をペンギンに例えたりしておかしいのだが、哲学的で味があった。
ただ、皿を割ったり料理をひっくり返したりするシーンには気分を害した。


・ディエゴが父親にテレビのボリュームを17でなく(縁起が悪い数字なので)15か19にしてくれと言うシーン
・ディエゴの部屋のコレクションの時計がどれも3時を指している
→ディエゴの神経質ぶりが出ていて面白かった。

・車で送ってくれたクララが「トイレ借りたいから家に上がってもいい?」と言った時、ゼスチャーで「ヤりたいのか?」と聞くシーン
・“女優”クララのポスターに見とれていて、クララに「どう?」と聞かれた時、「やせて見えるけどケツがでかいね」と言うシーン
→ディエゴの無頓着ぶりが面白かった。

・クララと老人ホームの老女の関係は何だったのだろう?

・リハビリセンターの仲間:自分はシークレットサービスの一員だと思っている男、自分の分身が世界のどこかにいると信じている男、卑猥な言葉をつい口走ってしまうトゥレット症の女、アニメの世界から抜け出してきたような失語症の若い女の子。
主人公を含め、このようなビョーキを抱えた人たちを登場人物にしたコメディタッチのドラマが作れるのがイタリアの素晴らしいところだと思う。

・「DOC」の主人公の娘役(子供時代)の子が、ディエゴの娘役を演じている。

<あらすじ>
ディエゴ(Stefano Accorsi)は腕のいいシェフだったが、同僚から受けたつまらない嫌がらせがきっかけで勤めていたレストランで大暴れして解雇され、いわゆる精神に問題ある人たちのリハビリセンターへ通うことになる。そこで出会うのがクララ(Miriam Leone)。自分は売れっ子女優だと言っているが、虚言癖というのだろうか、嘘がやめられないビョーキで、自宅で放火事件を起こして裁判所の命令でセンターに通わされている。
センターの所長(実は若い頃は薬物依存症だった)は、施設内にレストランを開くことを提案し、ディエゴにシェフを、クララにマネージャーを任せる。他のメンバーは接客係だ。
ディエゴは、自分の暴力的な振る舞いが離婚した妻と住む10歳の娘を怖がらせ、娘と会うのを禁じられるのではないかと恐れている。クララは虚言癖がエスカレートして、「モンロー」という名前の架空のオシャレなレストランのサイトを作ってフォロワーを集めて楽しんでいるが、しつこい予約依頼の電話に悩まされるようになる。一方サイトを見たディエゴの娘は、シェフは父親だと書かれていたのに興味を持ち、招待してほしいとディエゴに頼む。そんな事情が重なり、ディエゴとクララは施設のレストランを「モンロー」に仕立てようと決める。内装に手を加え、開店当初は大好評を博したが、すぐにほころびが出始め…。
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