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ノスタルジアのbirichinaのネタバレレビュー・内容・結末

ノスタルジア(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

作り手が感傷的になりすぎているのか冗長だなと思うシーンが多く、もう少しコンパクトにしてもらえると楽しめたのにと残念。他が冗長なのに、40年ぶりに家に息子が帰ってきた時、老いた母親が、まるでドアの向こう側で待っていたかのようにすぐにドアから出てきた。どういう演出なのか??

今は町の悪党(カモッラ?)となっている昔の友達との関係を修復しようとする後半が面白かった。若い頃、2人は遊び半分で金持ちの家に盗みに入り、家の人に見つかった友人ははずみでその人を殺してしまい暗黒街へ姿を隠す。一方、主人公はそれなりに豊かな家庭の息子だったので、親の手配で外国で会社を経営する伯父の所へ移住する。中年になり、老いた母に会うために40年ぶりに故郷に戻り、さよならも告げずに別れた友達に会いたくなったのだ。主人公は事件のことを誰にも言えず内に秘め、苦しみに耐えたつらい人生を送ってきたと思っているが、友人に言わせれば友人のほうがもっと悲惨。貧乏でつてもないのでよその土地へ逃げて人生をやり直すこともできず、裏社会で生きるしか道がなかった。友人は関係を修復しようと会いに来た主人公のことも信じられず、結局殺してしまう。主人公の財布の中から、しわくちゃになった若かりし2人の楽しそうな写真を見つけた時の表情が何ともいえなかった。目が少し若い頃のロバート・デ・ニーロに似ていて、この役にハマっていた。主人公よりこの人の人生の虚しさが印象に残った。

La conoscenza è nella nostalgia, chi non si è perso non possiede. (Pier Paolo Passolini)
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