spoornerizm

正欲のspoornerizmのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.6
例えば、これは自分は好きじゃないなってモノがある、それは、同時に、どこかの誰かはおんなじくらいの感覚で、それが好きだという事がある。
それを知ってないといけないなと、思う事がよくある。

自分は好きじゃないけど、誰かは好きなのかもしれない。
多様性?、、そういうことかな、とも。

さて新垣結衣さんは、まったく新垣結衣さんに見えなくて、ビックリでしたね。
"攻めてるなぁ"と。

「うるさい」って小声で、職場の同僚に言っちゃうシーンが、ティーザーになっててそれにびっくりして、この変な字面のタイトルの映画を見始めちゃったもんなぁ。

可愛くない新垣結衣さんを初めて観ました。立派な女優さんなのね、を認識。

水が溢れて、変な角度で飛沫になる事に性的欲求が満たされる、って人がいるって理解でいいんだよね?

いやぁ、それを他人が何とか言っちゃいけないんだな、吾郎ちゃん演じる検事みたいに「そんなことあるわけないでしょ?」とはね。

だって、あんな風に体を物理的に重ねる事では何も感じることはないけれど、な二人だもんなぁ。

ただ、あそこのシーンで「もう1人でいた世界には戻れない」って情愛を感じちゃうところが良かったなぁ。愛情というより、情愛、って感じた具合とか、なかなかさ。

最初の方でバラバラに進んでゆく物語が最後のあたりで繋がるとは思わなかったなぁ。プロットが面白い。

吾郎ちゃん演じる男性が色んな事を受け入れないタイプの人で、自らの家族が壊れていくあたりも、その理由が、子供の動画作成を通しての自立心だったりするのも、なかなか考えたなぁ。

観客にそこで「子供の動画はダメでしょ」って話を振ってるんじゃなくて、経済的に自立することだって可能な手段で、子育ての難しい時代を突きつけるよね、

あー、なんていうか苦手な話ではあるけど、すぐ近くに普通にありそうな話でもあった。

みんな色んな価値観。
結婚して子供持ってで幸せ、って価値観が一般的な時代からずいぶん変わったんだな。それが良いかどうかは分からないけど。

でも、子供に性愛志向を抱く人と水飛沫に性的志向を抱く人の線引きは?
どうして、新垣結衣さん演じる"妻を演じる"女性は、彼を救うために、その性的志向を吾郎ちゃん演じる検事に言っちゃわなかったか? 本人がどう言ったかを聞いたのか? つまり本人が言わないものは自分も言わないし、そもそも水にそういう感情を抱くなんて信じて貰えないことを知ってる。出口がないよなぁ。。。

SNSで結びつく怖さと、マイノリティ同士が繋がれる機会を提供するSNSの有り難さと。

色んなことが相反する価値観をずっと並べてある、白黒付かない難しい世界に自分は生きてるんだなぁと考えてしまった。

最後に
磯村勇斗さんはいいですね、あの役、語らない内面を想像させる存在で示す役どころだから難しいのではないかと。
spoornerizm

spoornerizm