くっちー

波紋のくっちーのレビュー・感想・評価

波紋(2023年製作の映画)
4.0
彼女がいったいなにをしたというのだろうか。

1人穏やかに信仰を拠り所として、静かに慎ましく暮らしていた依子の生活は、失踪していた夫が現れたことで次第に揺らいでいく。

側から見れば、怪しげな宗教への入信は、絶望的状況に見えるかもしれない。しかし当の依子が普通に暮らしていくためには、必要だっただろう。

おそらく彼女はそれに縋ることで、自分の感情を抑え、平穏な暮らしを演出していたのだと思う。

しかしそんな状況に、自分で少しでも疑問を持ってしまった瞬間、全ては絶望に変わると同時に彼女自身もまた解放されるのである。