birichina

何がなんでも!ファミリー・リユニオンのbirichinaのレビュー・感想・評価

3.5
独立して家に寄りつかなくなった息子と娘に対して、大金を相続したとウソをつき、お金で気を引こうとする両親(特に母親)。案の定、子供たちは遺産目当てに親にすり寄ってくる。リアルに描くと醜い話になるところを、うまくブラックコメディに落とし込んでいる。両親と子供たち(孫)を辛口コメントで諭す祖母の存在がよかった。ヒマつぶしに見る作品としては悪くない。

原題は「なにがなんでもクリスマス」。イタリアではクリスマスは家族で過ごすのが当たり前。だから、母親はどんな手段を使っても子供たちを帰省させたいのだ(父親は妻と二人で新婚気分に戻るのも悪くないと思っているようだが)。こういうコメディをクリスマスシーズン公開作としてぶつけてくるのがシニカルで、またイタリアっぽい。

<少し詳しいあらすじ>
ローマからおそらく車で1時間くらいの町に住む夫婦と、一応独立してローマで暮らす20代後半の息子(毎週母親にワイシャツの洗濯を頼んで、ローマに届けてもらっている)と娘(恋人と同棲するために家を出た)の物語。子供たちは少し頑張れば週末に帰省できるのに全然帰ってこない。親戚の葬儀にも顔を出さず、親は気まずい思いをさせられる。娘の誕生祝いを家でやる予定でケーキまで焼いて待っているのに兄妹そろってすっぽかす。ついにはクリスマスにも帰らないと言い出す。母親はさみしさと腹立たしさが募る。でもクリスマスは絶対に家族そろって祝いたい。夫婦は叔母の遺産を相続して大金持ちになったとウソをつき、子供たちの関心を引こうとする。遺産目当てにへつらってきた子供たちに、これまでの腹いせに理不尽なイジワルをしたりもするが(コメディタッチだから救われるが、いびり同然!)、しだいに遺産を分けなければいけないような状況に追い込まれていく。
birichina

birichina