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幸せのイタリアーノ/あなたのもとに走るのbirichinaのレビュー・感想・評価

4.0
ファヴィーノ扮する主人公はスポーツシューズブランドの社長で高圧的な男、趣味は走ることと気に入った女とベッドインすること。車いすの美女ミリアム・レオーネもターゲットとして例外ではなかったが、ただ偶然にも彼女をものにするために自分も足の悪い障がい者のふりをせざるをえなくなる。秘書や友人を巻き込んで、健常者とバレないように彼女に接近。オーケストラの団員で車いすテニスの選手でもある彼女と親しくなるうちに、本気で彼女のことを好きになっていく。同時に主人公の古臭い障がい者に対する認識も変わっていく。当初は障がい者を演じようとして失態の連続、次に彼女に嫌われないように正体を明かそうとするがなかなかうまくいかず、とコメディが冴える。
ファヴィーノは嫌なタイプの男を演じるのが上手な役者だが、この作品でも居丈高な起業家の役がハマっている。そして、そんな嫌な男が、一般的に見てハンディのある女に、ナンパするつもりが惹かれていって立場が逆転。彼女に冷たくされてオタオタするのは見ていてスカッとする。
嫌な奴だけど一緒にいて楽しいので(プールになる部屋とか高級レストランとか財力がものを言う感じもあるけど)彼女のほうも彼に惹かれている。そのあたり蓼食う虫も好き好き。

ミリアム・レオーネは完璧に美しく強い。
カラオケで「ライク・ア・バージン」を歌ったシガニー・ウィーバー似の秘書役の女優がよかった。
主人公の父親役をミケーレ・プラチドが演じていて、老いても女好きは直らないが妻(主人公の母親、わりとブス)と別れたことを悔いていると言ったのは、このタイプの男の本音か。

邦題は「あなたのもとに~」より「君のもとに~」のほうが適切だったのでは?
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