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あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のspoornerizmのレビュー・感想・評価

3.0
現実のストレスが溜まったとき、“戦争の時代に比べたら幸せ“って感じられるんじゃないかと思って、そんな期待で観た映画。

最後は泣いてしまったよ、それは、お母さんの気持ちがわかってもらえたから。(お母さん目線で鑑賞、中嶋朋子さんはやっぱり間違いない。)

1番言いたかったことはなんだろう? 人のために生きた人たち(ユリのお父さんを含めて)を知る、という事なのかなぁ。

だけれども、脚本はオイオイ、CGはCG過ぎるぞ、は、あったなぁ

空襲受けてユリが大切なお米を持って、食堂へ向かって結局火の海に追われて、戻ってきた風の描き方だったのに、直後、食堂もその近隣も全然無傷、松坂さん演じる食堂のおかあさんも無傷、何それ?
イヤ、無傷で良かった、ホッとしたさ、でもそこは、防空壕で助かったくらい、一言入れておこうか。

そこは、まぁいい。そこは。

納得いかなかったのは いいなずけの為に逃亡した板倉さん。あれはダメだよ。見つかったら収監で懲役だよ、あんな描き方、ないよ。嘘はまずい、若い諸君が勘違いするよ、戦争の時代、逃げようと思えば逃げられたんだって。ひとりの離脱は全体が動揺するわけで、あれはないかなぁ。
まぁ、あのくだりで伝えたいことは分かるけど。

俳優さんでまず良かったのは、松坂慶子さんね。あの品の良さはたまらん。

全然知らなかったんだけど、福原遥さんって上手いね。今回のタイムリープ高校生、声が現代風で“張らない““張り上げない“ところが、でも芯が強いところとかよく合ってるなぁ、上手いなぁと思った。

ただ、そもそも期待していた 水上さんの演技が“あれ、あれれれー“で 途中で「これは・・・」ってなった。番宣のチラ見の軍服姿がクラシックでいいんじゃないか、と思って観に行ったのもあったんだが、
なんでだろう? 
その瞳からは何もこっちに伝わりませんでした。いつも目がまん丸で真っ直ぐで、悲しみも、悔しさも、相手に対する愛おしさも何も伝わりませんで(すみません、個人の感想です)、、前に阿部サダオさんと共演していた映画の役が上手かったんで「どうした?」ってなりましたです。

その分、伊藤健太郎さんや小野塚勇人さんらの演じる同僚の飛行士の演技が上手かったように思った。あれ、アキラが水上さんじゃなかったら、もっと泣いてしまったと思うんだが。水上さんには今後期待だ。

今時、ディープな戦争を描いたら誰も観ないのかもしれないけれど、全体的に軽いなぁ、、は、あるなぁ。軍服も素材がイヤに薄っぺらいし。それでも、若い人に見て貰えるならいいのかなぁ。。

最後に、
おそらく茨城県にある戦争に関する記念館(実際の戦争で特攻で亡くなった人のパネルもある)でのシーン。あれは泣いちゃったよ。 あの結び方は素晴らしいね。
手紙で現代のユリに思いを伝える、たまんないわ。

あれは実際の展示にあるので、手紙は読んでみたらいいと思う。心臓が痛くなるくらいリアル。昔の価値観は今じゃ“全体主義“や“同調圧力“って否定されてしまうだろうけれど、逆に言えば「多様性」なんて有り得ない、“複雑じゃない"価値観だったわけで、だから人のため、国のために命を捧げる事が出来たわけだろうし、少なくとも今の日本はこういう人たちを経て成り立ってるんだってのを知る意味はあるよね。
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