ryota

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のryotaのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

実は、遥か昔に原作を実は読んでいました。その時も思ったのですが、これは反戦映画なのか恋愛映画なのかもちろんミックスされているものなのでしょうが、いまひとつどう捉えていいかわからないなぁと言うのが感想でした。で、映画も観てみるとやはり同じような印象です。もう少し突っ込んだ、的を絞った作品に出会いたかった。

福原遥だからか、飛行機が出てくるからか、朝ドラ「舞い上がれ」を想像してしまいます。そして映画自体もとても素直で真面目に作られたまさに朝ドラでした。タイムスリップと言うトリッキーな設定はまぁあれとして、基本的には女子高生が戦争を体験すると言う、ある意味オーソドックスなドラマです。ただなんでしょう、いろいろなところが意外と普通で、例えばタイムスリップのロジックもよくわからないし、なぜそうなったのかもわからないまま突然戦時中に女子高生は飛ばされ、そうこうしているうちに彼が現れ、いつの間にか定食屋に案内され働くようになり、そこで特攻隊のメンバーと知り合います。自分を妹のように扱う彼に好意を持つようになり、彼が特攻隊でいずれ戦地に赴いて自害することを知ります。それほどのショックを感じないまま、先の展開が読める流れに本当にそのままなっていきます。「悲しいよね」ってのをそのままやって、観客を泣かせってやろうってすればするほど、どんどん冷めていく感じ。特攻隊の悲劇や戦争は良くないといった擦り倒された反戦ものを今の若者たちに悲劇的に見せて、感動や様々な考えを持ってもらおうと言う崇高な意図なのか。おそらく中高生にとっては、とても感動的なショッキングなある意味ラブストーリーにもなっているし、ラストシーンではきっと号泣するでしょう。 ただもっと悲惨でリアルな戦争映画を見てきた私としてはやはり少しおこちゃまな感じがして、いまひとつ乗り切れませんでした。いや悪くは無いんですがなんだろう私はターゲットに入っていないんだなぁという感じ。

むしろ、出口夏希演じる千代があまりにも可愛くて、健気で、そっちに目が行ってしまいました。おじさんなのかなやっぱり私は(笑)。本線の百合と彰よりも、千代と石丸が、なんだか可愛くて切なくて、そっちのほうをメインで観たかったかも。

特に中高生は観たほうがいいでしょう、この映画は。 でも、大人になったら、もっと大人の戦争映画を観てほしい。
ryota

ryota