このレビューはネタバレを含みます
今になって春画の世界を堪能しつつ、それに絡めたコメディーなのか、人間ドラマなのか、まるでロマンポルノを彷彿とさせるエロティックなドラマが展開されます。個人的にはそれほどはまりませんでしたが、やりたい事はとっても好きです。
生きがいを見出せないでいる女の子がふと春画の世界にはまってしまい、先生と呼ばれる主人公にいつの間にか惹かれていきます。そういった流れはまさにエロティックドラマにありがちなパターンで、いまだにこの流れをやっているんだなと思うと、懐かしくもあり楽しくもあります。ヒロインの北さんは存じ上げなかったのですが、とても熱演されています。少し 熱演のが過ぎた感も否めませんが、最終的な展開から考えれば、そのあっけらかんとした脱ぎっぷりも含め好感が持てます。 退避するように柄本佑が飄飄とした芝居を見せてくれていて、彼とヒロインのセックスを先生に電話で聞かせるあたり、まるでロマンポルノさながらの展開はなかなかエロいです。ただどうしても小粒感というか、一体ここから何を楽しめば良いかというのが少し迷子になる部分もあり、個人的には微妙だと思ってしまいました。春画が笑いのための娯楽として存在していたと言うところはとても興味深いし、少しだけ文化の価値に触れるともできて、それはとても楽しいのですが、ドラマ自体にそのシンクロがあまりないので、いや、ないというか、全体にコメディのテストにしようと言う気持ちはとても伝わりますが どうしても文学的な崇高な香りが全体を通して感じてしまい、その世界観にハマれるかどうかと言う点で個人的には厳しかったかなと思いました。
ただ、基本的に、こういう映画は好きな方です。それほどのどぎつい心は無いものの、所々で観客の心をくすぐるシーンがちりばめられ、マニアックではあるものの、1つの作品としての方向性は素晴らしいと感じます。
