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哀れなるものたちのSugiのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.6
宗教と科学、進歩主義、魂が宿る場所(脳?身体?)、人間の根源的な好奇心、欲求、現実世界の欺瞞、痛み。
本作で自分なりに努力して感じ取ったたキーワードを挙げてみるが、感想の説明が非常に難しい作品。一言で言えば「変態」的な作品。

まるで現代美術の具現のような、不思議な建物の色かたち。奇妙なおとぎ話のような世界観は常に居心地が悪い。魚眼レンズで映し出される白黒の邸内は、誰の目線なのか?貴族的な、横長机での食事シーンも印象的。
ブルジョワ批判、男性優位社会批判、この辺りは社会主義的で進歩主義的。
「不安や恐怖を知って初めて、思慮深い人間になり、初めて大人になれる。」というニュアンスの、娼館の女の言葉が記憶に残った。

赤子の発言、行動を繰り返してきたベラが、世界と出会い、悦びと哀しみを知り、科学を学び世界の意味や自身の使命に気付き始めるに至る、あまりにも「芸術」的すぎるロードムービー。『時計じかけのオレンジ』を観た時のような、何か自分の常識と外れていながらも奥底の感情をぐわんぐわんと揺らされるような、そんな感想を抱く。
個人的には別に好きではないけど、良い作品だとは思う。
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