Sugi

プラダを着た悪魔のSugiのレビュー・感想・評価

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
4.0
「働くとはどういうことなのか?」を考えさせてくれる映画。社会人にはより刺さると思う。
また仕事に限らず、何か物事に打ち込むことへのモチベーションを与えてくれる。
一つの物事に集中して注力することで見えなくなったり失ったりする犠牲が、本作では丁寧に描かれている。主人公のアンドレアも自身の夢に向かい奔走する中で、周囲との誤解、軋轢、心的距離の創出に苦しむ。一見完璧な編集長ミランダも同様だ。表は順風満帆の様に見える人も、裏では人目を忍び泣いている。周囲からの期待やプレッシャーは、周囲から完璧に見えている人ほど自分で自分にかけているものなのだろう。

また自分ではどうにも致し方ない上からの指示命令や境遇の変化が訪れるシーンも心が痛い。
(会社員なら尚更同様のケースに出会す可能性が高いしれない)。
努力は必ず報われると信じているが、どの程度報われるのか、もしかすると自分が望んだ報われ方ではないかもしれない。またそのタイミングも1週間後なのか、20年後なのかも分からない。まだ出会っていない誰かと出会うことで急速に進展する可能性もある。即ち、どこまで行っても自分にはどうすることも出来ず、結局自己の理想に向かって盲目的にでも継続するしかないんだと思う。それほど没頭できる「何か」に既に出会えているその事実だけで幸せであることは明白だ。

「人間は自分の為だけに頑張れる程強い生き物ではない」。誰かの役に立つから生きられるし、誰かの仕事のおかげで生きている。今ここで働く意味は何なのか、を考える暇もないほど没頭できる仕事に出会えたら、どんなに幸運かと思う。
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