Sugi

サマーウォーズのSugiのレビュー・感想・評価

サマーウォーズ(2009年製作の映画)
3.9
想像以上に大人向けの映画だった。
仮想現実OZに突如現れたAI、「ラブマシーン」。AI vs 人間という構図が2009年時点で描かれている事実が驚きだ。
果たして人間がAIに頼り切った場合どうなるのか?人間がAIより優れている点はどこなのか?「人間らしさ」を改めて問う、そういった点が大人向けの作品たらしめている。
本家vs宗家、みたいな大人の事情も子供には理解が難しい点だろう。

祖母の栄おばあさんは、クライマックス後の笑顔含め、存在感が段違いだった。AIが超越し得ない人間の崇高さを体現した人物であった。
彼女の「弔い合戦」というテーマ設定が、AI vs 人間の構図に説得力を与えている。

東京都内や長野県内の地名、商品名までも忠実に描かれていた点も高評価。恐らく東京→長野の電車の時刻表も正しいのだろう。作中に登場する細かい現実を疎かにしない姿勢も素晴らしかった。これがAIに対比される現実に親近感を感じる背景となっている。

とにかく、人と人との触れ合いの細かな描写が美しかった。「今まで恋愛をしたことない男子高校生」が「尊敬する女の先輩」と触れ合ったらこうなるよね、という想像が容易くできた。主人公である健二の人間性に違和感がなく、ふっと感情移入できる。

子供は本作の派手なアクションシーンやカラフルなシーン描写に、大人は人間特有の協調性、人間社会のリアルさに、心を動かされる。
老若男女楽しめる作品だったと思う。
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