クロフネ

No.10のクロフネのレビュー・感想・評価

No.10(2021年製作の映画)
4.0
前半の演劇パートはいらないのでは? という議論さえ吹き飛ぶくらいの、バカバカしくも皮肉に満ちた展開に唖然とさせられました。クソみたいなこの世界にほとほと嫌気がさしているひとなら、ぜひ、小一時間ほどの退屈な不倫話を耐え抜いてみてください。その先できっと腰を抜かします。

そういう話なんだと知ったいま、もう一度最初から見ることができたなら、あの意味ありげな演劇のセリフのなかから、伏線やらメタファーやらを見つけ出せる気がします(笑)。

それにしても、あのラストは数カ月溜まった宿便を一気にトイレに流したときのような(画としてもそんな感じ)、オセロの駒が一気に裏返ったような、そんな爽快な気分をもたらしてくれました。また、パンクであるという点で、最近見た北野武監督の「首」に近いものを感じました。カート・ヴォネガットが脚本を書いたと言われても信じたかもしれません。悪くないです。
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