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新少林寺/SHAOLINのjellyfishのレビュー・感想・評価

新少林寺/SHAOLIN(2011年製作の映画)
4.8
観終わったあとの余韻がヤバい傑作。キャストの一人一人が役にしっかりハマってる。特に曹蛮(ソウ・バン)の最初と最後の変わり様に凄いという言葉しか出てこない。表情までが全く違う。残酷なシーンが多いけど一度は観るべき作品だと思う。
強欲で元々は権力もあった無慈悲な候杰(コウ・ケツ)が部下の裏切りでお尋ね者になった上に娘を亡くし、妻も失う。怒り狂って復讐劇に変わる映画は山ほどあるけど全く別の展開で、裏切った部下が自分と同じ過ちを繰り返さないように改心させようとする。敵も味方も大勢死んで、結局どちらかが死なないと変われなかったのが無念でならない。敵味方どちらとも大勢の死体の山と、瓦礫と灰に変わった寺を前に泣き崩れる曹蛮が救いようがない…。これ程の犠牲を払って何を得た?その価値はあったのか?最後はたったひとりになってしまった。
私たちの未来もこうなるしかないのかな。散々争い合って、殺し合って、最後には核爆弾でも使ってほんの数人生き残るか、或いはみんな死ぬか。そんな未来が近づいてくるようで残念。

一度離れた夫婦が再会して、別の形で別れるシーンが泣けた。奥さんの"二度と会えないだろうけど今のあなたが好き"と言う言葉で耐えきれなくなった。吊り橋の上から燃える少林寺を見るのも言葉にならないほど苦しかったはず。

悟道が言った「少林寺はみんなの心の中にある。永遠に消えない」も心に染みる。 
私の故郷は今、他国の侵攻によって破壊され続けているけど、たとえ結果的に全て灰に変わったとしても永遠に消えない。私の誇り。

音楽がとてもいい。涙もろい日はこの曲だけでもう泣ける。
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